社長は税理士!型破り鉄道模型会社の快進撃 SCに続々出店「ポポンデッタ」

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欲しい――。とはいえ、税理士を目指して公認会計事務所で働く20代の青年にとって、35万円は大金だ。しかしリストにある模型は定価なら全部で約100万円分になる。全部買って、自分がいらない模型は別の人に売れば、多少は資金を回収できるのではないか。

そう考えた太田さんは、親から借りたおカネで35万円分の模型すべてを引き取り、個人売買雑誌や鉄道模型雑誌の売買欄に掲載された住所宛てに「買いませんか」と、商品リストをひたすら送った。すると、約2割の人から購入を希望する返事が届いた。

「売りたい人がいる一方で、買いたい人とつなげる場所がないんじゃないか」と気づいた太田さん。同時に思い出したのは、鉄道模型に憧れつつも、値段の高さゆえに買えずにいた子ども時代のことだ。「半額だったら子どもにも手が届くのでは」。さらに、税理士を目指して働く中で「経営の実際を知ってみたい」という気持ちも高まっていた。

1999年11月。ネット販売の個人事業として「ポポンデッタ」はスタートした。

家族と一緒に入れる店を

「ポポンデッタ」という名前は、鉄道とはまったく関係がない。「ポポンデッタフルカタ」という熱帯魚からの命名だ。

なぜ「鉄道」とわかるような店名にしなかったのか。それには、創業当時の「鉄道模型」という趣味に対するイメージがある。今でこそ一般にも幅広く認知されるようになった鉄道趣味だが、当時はまだ「暗い」といった印象が根強かったのは事実だ。

「家族と一緒に、彼女と一緒に模型店に行こうよ、と言ったときに、鉄道要素の強い名前だと『そんなの嫌よ』で終わってしまうんじゃないかと考えました」。そこで、もうひとつの趣味であった熱帯魚の中から「元気の良さにあやかろう」と名付けたのが「ポポンデッタ」だったという。

初の店舗を渋谷にオープンしたのは2002年5月。太田さんが税理士として独立した駆け出しの頃だ。税理士としての顧問先から「渋谷のビルが1室空いている」と言われたのがきっかけだった。

最初は事務所として使わないかと持ちかけられた物件だったため、場所は道路に面していない「とても模型店があるとは思えないようなビル」。だが、オープン日には30人ほどの行列ができ、わずか7坪の店舗は入れ替え制にしないと入れないほどのにぎわいとなった。

売り上げの好調さを受け、同年11月には有限会社化。そして翌2003年の4月には、現在本社を置く秋葉原に第2号店をオープンした。

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