ボルボ系「ポールスター」、韓国でEV生産の裏事情 親会社は中国企業、米政府の対中制裁回避狙う

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ポールスターは中国の吉利控股集団の実質的な子会社だ。写真は吉利の工場で2023年10月に生産を始めた新型SUV「ポールスター4」(同社ウェブサイトより)

スウェーデンの高級EV(電気自動車)メーカーのポールスター・オートモーティブは、同社の新型SUV「ポールスター4」を韓国の自動車メーカー、ルノーコリア自動車の釜山工場で生産し、北アメリカ市場および韓国市場で販売する計画を明らかにした。

中国の民営自動車大手の吉利控股集団(ジーリー)、ポールスター、ルノーコリアの3社が、このほど提携に合意した。ポールスターは2017年、スウェーデンの乗用車メーカーのボルボ・カーとジーリーが共同で設立。ジーリーは2010年にボルボ・カーを買収しており、ポールスターの実質的な支配権はジーリーが握る。

ルノーコリアの前身は1994年に設立されたサムスン自動車で、2000年にフランス自動車大手のルノーが株式の8割を取得して子会社化した。2023年5月、ジーリーはルノーコリアの第三者割当増資を引き受け、現在の出資比率はルノーが約53%、ジーリーが約34%となっている。

販売伸びず収支改善が急務

ポールスターは2022年6月、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じてアメリカのナスダックに上場。同社が2023年11月8日に開示した7~9月期の決算報告書によれば、同年1月から9月までの販売実績は4万2000台に過ぎず、通年でも6万台にとどまる見通しだ。

同じく決算報告書によれば、ポールスターは1〜9月の売上高が18億4000万ドル(約2742億円)だったのに対し、同期間に7億3500万ドル(約1095億円)の営業損失を計上した。9月末時点の現金および同等物の残高は9億5000万ドル(約1416億円)しかなく、収支の改善と追加の資金調達が急務になっている。

新型車のポールスター4は、2023年10月に中国のジーリーの工場で生産を始めたばかりで、同年末から中国の顧客に納車を始める予定だ。同社の将来は、その売れ行きにかかっていると言っても過言ではない。

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