「11歳年下の夫」と月10万円で暮らす彼女の人生 旅行先で出会ったトルコ人と結婚した彼女の選択

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基本的に違いを認め合い、尊敬し合っている2人。ただし、文化や性格の違いでぶつかることもある。

「トルコ人は全体的に時間にルーズだと思います。相手に申し訳ないとすら思っていないのです。彼は特にひどくて、『20分ぐらい遅れる』と言ってから結局1時間ぐらい遅れて来たりします。小さな工房を経営していて、職人を4人雇っているのに出勤管理をまったくしません。納期を守れないこともあります。私が代わりにうるさく注意していたら、彼から『みんなのストレスになるのでやめてほしい』と言われてしまいました。それでいて日本への事業進出を検討しているんです。ジュエリーのセンスはよくても、留め具が甘かったり納期を守れなかったりしたら日本では通用しないと教えています」

相手を思う気持ちと思いやりを察する心があれば大丈夫

ハリルさんのほうが気になっているのは、美紀子さんの両親が年老いてきたことだ。トルコに呼び寄せて一緒に住むか、もしくは自分たちがしばらく日本で住んで両親の面倒を見るか。どちらかにするべきだと主張している。

「親は私たちの世話になる気はなく、将来的には介護老人保健施設などに入ってもいいと言っています。彼に伝えたらびっくりしていました。イスラムの教えでは、親をそういう施設に入れる人は地獄に落ちるのだそうです」

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ハリルさんが工房の日本進出を考えているのは、美紀子さんの両親の近くに住むことを視野に入れているからだ。仕事に家族を合わせるのではなく、家族に仕事を合わせる発想なのだろう。

日本人同士の結婚であっても「文化の衝突」はある。美紀子さんとハリルさんの間にぶつかり合いがあるのは当然だ。でも、相手を思う気持ちと相手からの思いやりを察する心があれば何事も乗り越えられる。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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