全米一のパン屋が日本上陸延期を決めたワケ ブルーボトルも認めた絶品クロワッサン

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ちなみに、ドミニク・アンセル・ベーカリーも今月、初の国際フラッグショップ店を東京にオープンする。タルティーンが上陸することになれば、日本のグルメシーンが、さらにエキサイティングになること請け合いだ。

タルティーンといえば、カントリーローフ(山形のフランスパン「カンパーニュ」のこと)が有名だが、シナモンシュガー味のロール型パンである「モーニング・バン」のファンも多い。

地元産の食材を使うことへのこだわり

タルティーンでも人気の高い「モーニング・バン」

「甘さもほどよく、完璧に作られている。言葉で表せないほどおいしい。私のお気に入り!」と言うのは、カリフォルニアのニューポート・ビーチに住む、広告代理店メーソンジャーPRの創業者、テイラー・ハーキンスさん(26)だ。

サンフランシスコに3年ほど住んだことがある彼女は現在、仕事の傍ら、30歳までに全米50州を回るべく旅を続けており、各地のモーニング・バンにトライした。だが、タルティーンのバンが「最も忘れがたい」味だったという。

何が、それほど特別な風味や食感を生み出すのか。ロバートソン氏が特にこだわるのは、全粒粉など、地元産の穀類だ。「栄養や風味の点からだけでなく、農家のサステナビリティ(持続性)のためにも、穀類を育てていきたい」と、ロバートソン氏は、サンフランシスコ・クロニクル紙(2014年10月8日付)に語っている。

こうした姿勢も、タルティーンが地元から支持されている理由の一つだろう。健康のためだけでなく、全粒小麦粉製のペイストリーを好きになってほしいというのが、ロバートソン氏の願いだ。同氏は、サンフランシスコ・クロニクル紙の別の記事(昨年9月4日付)で北海道産の小麦を絶賛。「日本で言う『モチモチ』のタルティーンのパンにぴったりだ」と話している。

女性誌やグルメ雑誌はパン特集が定番になっているほど、パン好きが多い日本でタルティーンは果たして受け入れられるだろうか。

肥田 美佐子 ニューヨーク在住ジャーナリスト

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ひだ みさこ / Misako Hida

東京都出身。『ニューズウィーク日本版』編集などを経て、単身ニューヨークに移住。アメリカのメディア系企業などに勤務後、独立。アメリカの経済問題や大統領選を取材。ジョセフ・E・スティグリッツなどのノーベル賞受賞経済学者、「破壊的イノベーション」のクレイトン・M・クリステンセン、ベストセラー作家・ジャーナリストのマルコム・グラッドウェルやマイケル・ルイス、ビリオネア起業家のトーマス・M・シーベル、ジム・オニール元ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長(英国)など、欧米識者への取材多数。(連絡先:info@misakohida.com)

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倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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