全米一のパン屋が日本上陸延期を決めたワケ ブルーボトルも認めた絶品クロワッサン
これほどの人気店を仕切るオーナーとは、どのような人物なのか。
妻のエリザベス・プルーイット氏と共同でタルティーンを経営するチャド・ロバートソン氏は、40代前半の、脂が乗り切った一流のパン職人にして敏腕起業家だ。ブルーボトルのフリーマン氏に言わせれば、「全米一のパン職人」である。
全米の賞を総なめ
一方、プルーイット氏は、パティシエとして、主力商品のバナナクリームパイやココナッツケーキなど、スイーツに腕を振るっている。
サンフランシスコ在住若手ビジネスコーチ、ニコール・ライトさんのお気に入りは、スモークハムとスイス製グリュイエール・チーズの朝食用ペストリー「パン・オー・ジャンボン」。だが、アフターファイブには、チョコレートヘーゼルナッツ・タルトとベルギー産ビールで一日を締めくくるのが「大いなる喜び」だという。
タルティーンのウェブサイトによると、両オーナーとも、ニューヨーク州北部の料理専門大学、カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカを卒業。フランスで修業後、帰国し、サンフランシスコ北西に位置する小さな町、ポイント・レイズ・ステーションに「ベイビレッジ・ブレッズベーカリー」を開いた。スターシェフ、アラン・デュカス氏からもパンが注目され、同氏の著書で取り上げられたという。
そして、6年後の2002年にタルティーンベーカリー&カフェをオープン。米レストランガイド『ザガットサーベイ』で、サンフランシスコのベストベーカリーに選ばれるまでに成長した。2008年には、両氏とも、卓越したペイストリーシェフに贈られる米「ジェームズ・ビアード賞」に輝いている。
その後も、タルティーンの快進撃は続く。2013年には、食を専門とする米オンラインマガジン、デイリー・ミールの「米ベストベーカリー・トップ50」で1位を獲得。クロワッサンをベースにしたドーナツ「クロナッツ」が大ヒットしたニューヨークの「ドミニク・アンセル・ベーカリー」を抜き、全米トップのベーカリーの座を射止めた。