未曾有の危機に立ち向かう再生可能エネルギーの未来《2》固定買い取り制度の導入で利用は拡大する

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日本は世界第3位の地熱資源大国だが、活用は遅れている

ほかに有望な再生エネルギーと考えられているのが地熱である。日本の地熱資源量はインドネシア、米国に次いで世界3位。原発20基分に相当する地熱資源(20.5ギガワット)が存在する地熱大国である。しかし、これらも十分に活用されていない。

地熱資源は特に東北、九州に豊富に存在しているが、その大部分は未開発である。これは地熱発電の有望地域が温泉地、あるいは国立公園内にある等の理由により開発が困難なためである。

このように、日本は風力、地熱の可能性は高いものの導入はあまり進んでいない。数年前まで技術力・導入量ともに世界一だった太陽光も、他の先進国にあっという間に抜き去られたというのが現状だ。世界の再生可能エネルギー市場が急拡大している中で、このように日本が足踏みしている理由は何だろうか。

固定価格買い取り制度で急拡大が期待できる

ドイツやスペイン、イタリアにおける太陽光発電の急拡大を支えたのが固定価格買い取り制度(Feed in Tariff: FIT)であるといわれている。FITとは再生可能エネルギーによって発電された電力を長期にわたり通常より高い固定価格で電力会社が買い取ることを保証する制度である。初期投資の負担を軽減する補助金に比べ、確実な投資回収を可能とする政策手法として効果が高いといわれている。

日本でも全量買い取りを対象としたFIT法案が本国会に提出されているが、実はこの法律の制定を前提にすでに再生可能エネルギーの設備導入に関する補助金は廃止されてしまっている。つまりFIT法が通過しないかぎり、日本の再生可能エネルギーは普及のエンジンを失った状態になってしまうのである。

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