【産業天気図・業種別業績予想集計】「会社四季報」2011年3集
「会社四季報」2011年3集(6月発売)の最新データを基にした独自集計によれば、今12年3月期の予想営業利益(金融除く「全産業」ベース)は、前期比7.7%減となる見通しだ。前11年3月期の実績である48.5%増から急速に悪化することになる。ただこれは通期で見た場合であり、前半と後半に分けてトレンドをとらえると、徐々に業績改善が進む上向き傾向が期待できる。
業種別にみると銀行・保険を除く31業種中、16業種が前期比で営業減益となる。減益幅がもっとも大きいのは電気・ガス(84.1%減)。東日本大震災による東京電力の原子力発電所事故の波紋が業界全体に広がる想定だ。以下、海運業(57.4%減)、空運業(32.7%減)、陸運業(26.4%減)、輸送用機器(21.1%減)の順で減益幅が大きい。
前期比で営業増益となるのは、卸売業(12.4%増)、機械(10.7%増)、精密機械(7.6%増)など14業種。また、証券は黒字転換が見込まれている。業種数だけでみると減益業種がやや優勢にみえるが、四季報予想の景況感予想を踏まえると、減益業種も尻上がりに業績が回復する想定。この流れで、来13年3月期は石油・石炭と医薬品を除く全産業が増益に転じる見通しだ。
来期の予想営業利益(金融除く「全産業」ベース)は、今期比20.5%増が見込まれている。業種別にみると、電気・ガスの229.8%増が伸び率トップで、以下に空運(139.7%増)、証券(63.5%増)、輸送用機器(59%増)、ゴム製品(45.7%増)などが続く。
ただこういった回復トレンドも、国内の電力供給状況や為替相場などに大きく左右される余地がある。震災影響から脱しつつあるとはいえ、まだ予断を許さない状況ではある。
■次ページに業種別営業利益・純利益予想の集計表を掲載