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マクドナルドと「ライバル外食」を分析する 「独り負け状態」に歯止めはかかるか?

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その点を考えますと、マクドナルドは信頼回復とともに、消費者が求める商品を詳細に調べて提供していく必要があるのではないかと思います。カサノバ社長は、米国ではなく「日本の消費者」が求めているものを模索しなければなりません。

復活は可能か?鍵は信頼回復とターゲットの明確化

マクドナルドの業績悪化は、今も続いています。最新の決算である平成27年12月期・第1四半期決算(2015年1〜3月)によると、売上高は前年同期より34.4%減の408億円。営業利益は99億円の赤字に転落しました。消費者の信頼回復への道のりは、依然として遠い状況なのです。

5月22日、カサノバ社長が新販売戦略を発表しました。鶏肉問題などで大幅に減少したファミリー層や女性客を呼び戻すため、野菜を多く取り入れたメニューに変えていこうというのです。

ただ、この点には注意が必要です。近年のマクドナルドの戦略を見ていますと、ターゲット層が見極められていないと感じるからです。

たとえば、最近、カフェメニューを提供する「マックカフェ」を展開したり、ビジネスパーソンや学生が店内でパソコンを使えるように電源やWi-Fi環境を用意した店舗を増やしたりしています。確かに、狙いどおりにこの客層は増えました。

ところがその結果、ビジネスパーソンや学生は単価の安いコーヒーを飲みながら長居するようになりました。客単価が減ったうえに、顧客の回転率が大幅に落ちたのです。

一方で、メイン客層であるファミリー層が減少しました。鶏肉問題が発覚したことで、親が「子どもには食べさせたくない」と考えるようになっただけではありません。ビジネスパーソンや学生を取り込んだことで、ファミリー層にとって居心地が悪くなってしまったという点もあるのではないかと思います。

誰をターゲットにして、その層に何を提供するのかを明確にすることが大切です。もちろん、まずは失った信用を回復することが最優先ですが、そのうえでターゲットを明確にしなければ、戦略も中途半端なものになってしまいます。

カサノバ社長は、日本の同業他社の動向や、実際の店舗状況をしっかりと見て、QPSと呼ばれる「Quality(質)、Price(値段)、Service(サービス)」をどのように組み合わせるのかを考えることが必要です。

今、マクドナルドは変革のための「膿み出し」をしているのか、それとも「終わりの始まり」なのかはわかりません。いずれにしても財務内容は非常に優秀ですから、簡単には終わることはないでしょう。まずは新戦略が功を奏するのか、それによりいつ赤字から脱却できるのか、今後の決算に注目です。

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