解任騒動が示した「オープンAIとMSの相互依存」 スピードを支えるのは人員と「サーバー」だが…
いかに巨大な設備を持つか、もしくは戦略的に小さな設備向けのLLMで戦うかが重要になってきているわけだが、OpenAIは汎用人工知能(AGI)を目指してどんどんLLMの規模を拡大する方向性にある。だから、パートナーとともにサーバーを動かし続けなければならない。
逆に言えば、「人員がいて」「サーバー設備が用意できる」状態なら、OpenAIと戦うことは不可能ではない。グーグルやMetaはその条件を十分に満たしている。OpenAIが持っている優位性も、他社が持ち得ないものではない、ということだ。
活動が滞ると、その分すぐに他社が追いついてくる。
マイクロソフトは「共依存」をいつまで維持するのか
OpenAIはサーバーをマイクロソフトに依存している。マイクロソフトはOpenAIに対する最大の出資者だが、逆に言えば、世界トップクラスのクラウドインフラ事業者であるマイクロソフトの力を借りなければ、ChatGPTを含むOpenAIの快進撃も実現できなかっただろう。
マイクロソフトはOpenAIに依存したサービス施策を矢継ぎ早に提供しているが、一方インフラ面でOpenAIはマイクロソフトに依存している。
海外の報道によれば、マイクロソフトがアルトマン氏らの離脱を知ったのは、11月17日の発表直前であるという。
両輪が揃っていないと今の快進撃は実現できないわけだが、その片方が止まりそうになったのを突然知ったマイクロソフトの驚きは想像以上であっただろう。
マイクロソフトのサティア・ナデラCEOはすぐに交渉し、「アルトマン氏らがマイクロソフトに入る」とコメントを発表したが、どのような体制で、どのような組織体を構成するのかといった詳細は公表されなかった。なによりもまず「両社のコンビネーションは安泰です」とアピールする必要があったからだろう。
今回の騒動では、OpenAIへの発言力をマイクロソフトが強化し、漁夫の利を得たようにも見える。だが、同社が取締役会に関係者を送り込めたわけでもなく、両社の関係や体制に変化はない。
今後も体制を維持するなら、OpenAIのガバナンス強化は必須だ。一方で、マイクロソフトとして「OpenAI以外の選択肢」、例えば自社でLLMを開発していく道もなくはない。すでに小規模なLLMは研究しているが、今後はどうなるのだろうか。
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