解任騒動が示した「オープンAIとMSの相互依存」 スピードを支えるのは人員と「サーバー」だが…

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現時点で「ビジネスとしての生成AI」を考えた場合、OpenAIとそのメインパートナーであるマイクロソフトは、圧倒的なシェアを持つ。研究開発ではともかく、サービスとしての利用、特に有料で収益を得ながらの展開という意味では、他社はまだまだこの2社に追いつける状況にない。多くの企業が依存するOpenAIの先行きに懸念が生まれることは、同社に関わるあらゆる人々にとってマイナスだ。

だからこそ、懸念をできるだけ短期に解決するために「元のさやに戻した」という選択肢が採られた、ということなのだろう。

スピードこそがOpenAIの強さ

なぜOpenAIが強いのか?

それは、技術開発からサービス展開までの速度が速い、という点に集約できる。

生成AIの核になる「大規模言語モデル(LLM)」は技術開発競争の激しい分野である。大学でもIT企業でも、LLMの研究と学習にしのぎを削っている。

その競争の中でOpenAIが有利な地位を確保し続けられているのは、同社の作ったLLMである「GPT-3」や「GPT-4」が優秀だった、というのは間違いない。だが同時に、2022年11月に発表した「ChatGPT」がシンプルかつわかりやすいサービスだったから……ということも大きい。

間違った回答を出す「ハルシネーション」などの問題があっても、英語だけでなく日本語を含む多くの言語で、いままでなかったほどの精度で「言葉で人と対話し、なんらかの役に立つ」サービスができたことは画期的なことだった。もちろん自社LLMであるGPTシリーズの改善も続けており、現在もGPT-4はトップクラスのLLMである。

OpenAIが現在の地位にいるのは、さらなる改善を矢継ぎ早に実施したためだ。

他のウェブサービスと連携する「プラグイン」(2023年3月提供開始)、命令に応じてChatGPT自体がソフトを作り、内部で活用して高度なデータ解析をする「Advanced Data Analysis」(発表当時の名前はCode Interpreter、同7月提供開始)、会話しながら目的にあった自分専用のチャットボットを作る「GPTs」(同11月提供開始)など、他社がOpenAIの技術を使って作ろうとしていた機能の多くをどんどん先に作り、自社サービスの価値を高めている。

逆に言えば、それだけの速度がなければ差別化できない世界である……ということでもある。「LLMをチャットで使う」だけなら他社も追いついてくるし、生成AIを活用するための新しいコンセプトも日々生まれている。OpenAIのような立場にいても、常に先手を撃ち続けなければ、今の競争状況で優位性を保ち続けるのは難しい。

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