晩婚子なし夫婦が「不人気の老猫」を迎えた理由 中高年でもペットと暮らすことを諦めない方法

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ただし、預かりボランティアを休んだ月は「家が静かで仕事がはかどるぅ!」「早起きして散歩しなくていいの超ラクチン!」「夫婦でゆっくりお出かけできるの最高!」と最初は夫婦の会話に感嘆符が飛び交うほどに、犬のいない生活を満喫するものの、10日もするとすっかり寂しくなって「来月はどの子が来るんだろう」「聴導犬協会からの連絡まだかな……」と、首を長くして再び犬がやってくるのを待つのです。

ペットとの暮らしを諦めない、年齢とライフスタイルに合った方法を探す

日本聴導犬協会からお預かりした元聴導犬のまるくん(9歳)。元置き去り犬から聴導犬になりました。病気療養も兼ねてわが家で8カ月暮らしました(筆者撮影)

高齢者とペットというのは、最近社会問題にもなっていますし、私がいつも観ている、東京のローカルテレビ局の保護犬・保護猫情報コーナーは、飼い主が高齢(死去、入院、施設への入居など)のためという理由で家を無くす犬や猫が圧倒的に多いのが現状です。

「保護犬・保護猫は60歳以上には譲渡しません」という保護団体も多く、SNSでは「高齢者はペットを飼うな」という意見も多くみられます。たしかに、ペットの立場に立つと、そのとおりです。

でも、一方で、

「年齢を重ねて時間ができた今こそ、ペットと暮らしたいのに、年齢を理由に諦めなくてはならないのも、残念すぎるのではないか」

……いざ自分が中高年の仲間入りするようになって、私はそう感じるようになりました、年齢を重ねたからこそ、命の大切さに向き合える自信もありました(中高年世代の皆様はどう思いますか?)。

今から子猫や子犬を飼うには遅すぎると判断したわが家は、ライフステージや暮らしのサイズを考慮して、老猫の里親と、聴導犬のソーシャライザーという、ペットとの関わり方を選びました。

頭ごなしに否定するのではなく、さまざまなことを考慮したうえで、ペットの命に責任を持つこと、自分たちがもし飼えなくなったときのペットのその後まで考えることで、みんなが幸せになる答えが見つかるかもしれない……。それも、「小さく暮らす」ことをモットーにしているわが家がたどり着いた、結論の1つなのでした。

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大木奈 ハル子 ブロガー・ライター

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おおきな はるこ / Haruko Ookina

40代のサブカル好き主婦ブロガー・ライター。東京都港区の、狭くて古い(30平米築50年)ボロマンション在住のミニマリストで、夫と猫と同居中。趣味はチェーン店の朝メニュー食べ歩き、特技は節約とDIY。日本聴導犬協会の、子犬預かりボランティア活動中。著書に『台所図鑑』(大和書房)がある。テレビ出演は『THE TIME,』(TBS系)など。『東洋経済オンラインアワード2023 クリエイティブ賞』受賞。アメブロ公式ブロガー。
アメブロ:https://ameblo.jp/1room2live/
朝メニューブログ:https://865.games/
X(旧ツイッター):@tei_nai

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