高級食材「トリュフ」ラーメンを食べたプロの本音 ポルチーニも…日本のラーメンに合わない理由

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そういえば新宿「金色不如帰」の「真鯛と蛤の塩そば」にもトリュフやポルチーニのペーストを添えてあったっけ。

ただし、ラーメンに華を添えるほどではなかった。私が知るところ、ラーメンに初めてトリュフを添えたのは「蔦」のようだが、季節外れでもメニューに載っていたので、それをいただいたが、トリュフの効果はまったく感じられなかった。

「SOBAHAUSE 金色不如帰」の「真鯛と蛤の塩そば」(写真/山本益博)

大衆好みの食材の仲間入り「トリュフ」

食べ手のわたしたちが、トリュフの正体、本領、真髄を知らずじまいなのだから仕方のないことかもしれないが、トリュフの魔力に一度でも取りつかれたことのある料理人であるならば、トリュフの真価を啓蒙する使命があるのではないだろうか。

あるときから、トリュフが香るポテトチップスが人気の的になり、あっという間にトリュフが大衆好みの食材の仲間入りを果たした。トリュフオイルにトリュフ塩が鮨屋にもとんかつ屋にも登場するようになった。最近は、コンビニの看板にも「トリュフが香る!」が踊っている。

だが、すべてケミカルに合成された食品で、本物のトリュフとは似て非なるものである。

イタリア・アルバ産の箱入り白トリュフ(左)とパリのレストラン「アストランス」で使われていた黒トリュフ(右)(写真/山本益博)

トリュフには白と黒があり、白トリュフは9月末から12月末までが、黒トリュフは12月中旬から3月初旬までが妖艶な香りを漂わせる旬で、白はイタリアそれもアルバ産が最上等品と言われ、黒はフランス産が主流である。近年、季節が真逆のオーストラリア産のトリュフが7月8月に輸入され、その品質の高さが評判を呼んでいる。

価格は白トリュフが圧倒的に高価で、スライサーで数枚下ろしただけで、数千円してしまう。加熱すると魅力がなくなってしまうので、熱々のパスタの上にスライスして賞味するのが一般的。黒トリュフは生でも加熱してもよく、フォアグラ、ベーコンなどの油脂、卵、ジャガイモなどの地下茎の食物と極めて相性が良い。つまり、ラーメンには、白より黒トリュフが似合っているのだ。

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