外国人が日本酒の「獺祭」こぞって買い求める背景 ニューヨーク・ヤンキースのスポンサーにも

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また、ヤンキースとスポンサーを契約した際には、ヤンキー・スタジアムで「獺祭」を出さないかと紹介してくれた人物がいた。球団の上層部に「獺祭」を愛飲していた幹部がいて話が進んだ。

高付加価値戦略と、人との縁が重なり、海外で広く受け入れられている獺祭。そんな旭酒造が今、力を入れていることは何か。

「海外で日本酒が人気になっているといっても、アルコール市場でいえば、アメリカでは全体の0.2%、ヨーロッパでは全体の0.1%以下と、浸透しているとはまだいえません。新しい市場を開拓し、さらに促進していくには、世界のビジネスマンが集まり、情報の発信地となっているニューヨークが非常に重要です。そのため現在は『DASSAI BLUE』に全力で取り組んでいます」(桜井氏)

獺祭 旭酒造
DASSAI BLUE(写真:旭酒造提供)

アメリカ市場の中でも、ニューヨークのマンハッタンには特に注力している。ここでは卸売りは通さず、旭酒造が自ら営業に取り組む。その理由は、日本酒の品質管理と市場理解だ。日本酒を管理するにはマイナス5度が最適な温度。しかし、ワインの物流では常温で管理しているところもあり、10度以下であればよいほうだ。そこに直接目配りする形を取りたかったという。

アメリカで成功しなければ未来が見えない

また、卸売りを挟むと、何がどのようにして売れたのか、もしくは、売れなかったのか、詳しく知ることができない。飲食店やワインストアを回ることによって、生きた情報を早くキャッチすることができ、よりよい戦略を練ることができるのだ。

「アメリカで成功しなければ、未来が見えてきません。ニューヨークに構えた酒蔵では、最大で日本の5分の1くらいは生産できる能力があります。10年後くらいには、それくらいまで伸ばしていきたいです。アルコールもタバコと同じように、世界的に市場が縮小して淘汰されていき、よいお酒だけが残ると考えています。生き残るのは簡単ではありませんが、大吟醸の素晴らしさを広め、市場を育ててきたという自負もあるので、みんなで乗り切りたいです」(桜井氏)

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