先に少し触れたインテリアは、デザインが秀逸だ。「極力シンプルに仕上げていました」と、インテリアデザインを統括するボルボ本社のリサ・リーブス氏は、かつて私にそう語ってくれたことがある。それが今のボルボのデザイン哲学なのだそうだ。
ただし、私が秀逸だと思っているのは、「シンプルだからつまらない」となっていないことにある。たとえば、内側からドアを開けるためのオープナー。
真横から見ると1本の棒のようだが、細くてきれいなカトラリーのようなデザインで、引くときのクリック感もよく、操作が楽しい。
ダッシュボードまわりは、大型のインフォテインメントシステム用モニターがあるだけ。速度やバッテリー残量など、情報はみなここに表示される。
ドライバーの前にあるのは、「眠気に襲われていないか」「スマホを注視していないか」などドライバーの目線を終始モニターしているカメラだけと、かなり振り切ったデザインだ。
ここまで凝っていると、ライカのカメラやバング&オルフセンのオーディオ機器、ダイソンの家電など、造型力の高いプロダクトを持つのと同じ喜びを与えてくれそう。
新しい時代がすでに始まっている
リサイクル材を多用しているというインテリアは、素材の選び方も上手だ。日本仕様の中で私が特に好きな仕様は「ミスト」と名付けられていて、再生ポリエステルにウールを30%、混紡したシート地が、見た目も感触もたいへんよい。
12.3インチのモニターでは、Google PlayのアプリやAmazonプライム・ビデオを楽しむこともできる。
「これからのボルボ車にとって、性能向上から販売にいたるまで、すぐれたソフトウェアの開発が欠かせない」(プレスリリースの要約)とするボルボ。
今、本社のあるスウェーデン・ヨーテボリをはじめ、同ストックホルム、ポーランド、シンガポール、インド、中国……と、世界各地にソフトウェア開発施設をもつ。
EX30は単なるコンパクトなBEVではない。そこでは、新しい時代がすでに始まっているのだ。
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