EUは、2030年代にはいわゆる「ZEV法案」を施行するだろう。ZEVとは、ゼロエミッションビークル(排出ガスを出さないクルマ)のことで、ZEV法案は「エンジン車の新車販売を禁止する法案」。アメリカ・カリフォルニア州は、2035年には施行するとみられている。
近い将来にZEV法案が施行されるなら、前倒してZEV(=BEV)の開発に注力して知見を蓄積し、かつ市場で「ZEVならこのブランド」というイメージをいち早く浸透させてブランド力をつけておこう、というメーカーの動きは不思議でない。
実際、ボルボは早くから電動化を強調しており、2024年初頭のディーゼルエンジン車生産終了、2030年の完全なBEVメーカーシフトを宣言している。
乗って感じる“いいもの感”と“凝縮感”
すでにBEVの売れ行きが伸びている市場は、いくつもある。そこにあって、市街地で扱いやすいサイズは、プロダクトとして見たとき“二刀流”とでもいえばいいのか、商品力が高くなることは間違いない。
実際、ボルボEX30に触れて、それを実感した。2023年10月にスペイン・バルセロナで試乗したときのことだ。
バルセロナは、観光客は多いし、周辺にはセアトやクプラ(セアトから派生した高級ブランド)など、フォルクスワーゲン系列のメーカーをはじめとした工場もあり、市街地は活気がある。というか、いつも混雑している。
そこをEX30で走ってみて、サイズの大切さを改めて実感した。車幅は1835mmと、日本車の基準から考えると少し広めだが、全長からくるコンパクトさという先入観がいい方向に働いてくれて(結局は思い込みだが)、狭い道でも心理的負担が少ない。
ボルボによると、コンパクトなサイズながら、北米でも受注が好調とのことだ。デザイン的にもよく考え抜かれ、いわゆる“いいもの感”があるせいだろうか。
個人的に、かつてBMWが手がけたBEV「i3」(2013年発売)は、炭素樹脂を使った凝ったシャシーとともに、何にも似ていないデザインを内外装に採用したコンセプトで、好感を持っていた。
EX30も、“凝縮感”という点で、i3に通じるものを感じさせる。ただし、デザインはそれより一般的。たしかにグリルレスだったりピクセルをイメージしたヘッドランプだったり、独自性はあるけれど、より万人ウケしそうだ。
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