多様な価値観を活かすことがシナジー効果につながる--日本IBM株式会社 大歳卓麻会長/第4回ダイバーシティ経営大賞受賞記念スピーチ

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本日は大変栄誉あります「大賞」をいただきまして、非常に感激いたしております。私どもは十数年前から重要な経営指標の柱の1つとしてダイバーシティの推進を取り入れております。地道ではありますが、いろいろと工夫や努力をしながら続けてきたことが評価いただけたと聞いております。

私どもはアメリカ生まれの会社です。アメリカというのは、前東大総長の小宮山宏さんがよくおっしゃっている表現ですが、毎年、世界中のさまざまなところから移民を計画的に受け入れている国です。したがって、アメリカの3分の2はいわゆる先進国ですが、3分の1は開発途上国。このようないろいろな人たちがミックスされている環境でIBMは事業を行っています。そうした中で、IBMは1990年代初頭に非常に深刻な経営危機に見舞われた時期がありました。会社が大きくなりすぎて、死に絶えた恐竜に例えられた記事もたくさん出るなど揶揄された時期があったわけです。成功を続けていく中で、官僚化といいますか傲慢さ、あるいは安定志向といいますか内向きなど悪い面が徐々に出てきていました。

そうした危機に陥ったIBMを立て直すというか、作り直す戦略のコアの1つがダイバーシティです。男性や女性という性の違いはもちろんのこと、国籍や肌の色、あるいは障害をお持ちの方、性的な特性を持った方、あるいはそれまでは違う仕事をやってきた人たち等々、異なった価値観を持つ人たちが一緒に仕事をすることによって、新しいアイデアも生まれやすくなり、また選択肢もいくつかのものがきちんと提示しやすくなります。いわゆるシナジーといいますか、全体のエネルギーにつながってきているのだと思います。

そうした観点から見ますと、今、日本自身の競争力はグローバル化が急速に進む中で大変問題視されています。この国自身を、もっと異なるものを積極的に受け入れる、あるいは異なるものが一緒に存在することで新しい価値・利益を生み出すという、本当の意味でのダイバーシティ経営が実行できる国にしていく必要があるのではないかと思います。本日受賞をされました企業の皆様は、日本ではダイバーシティ経営において最先端を歩んでおられます。一緒になってこの国の改革を推し進めていく一助になれればいいなと思います。

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