資生堂など日本の化粧品メーカーが中国景気の減速と、原発処理水の海洋放出に端を発した同国での不買運動というダブルパンチに見舞われている。世界の競合他社と同様、急成長する中国の化粧品市場でしのぎを削ってきた各社だが、中国への高い依存度があだとなった格好だ。
資生堂の株価は13日、今期(2023年12月期)の利益予想を下方修正したことが嫌気され、終値ベースで14%安と36年ぶりの下落率を記録した。資生堂にとって中国は売り上げの25%を占める最大の市場だ。モーニングスター・リサーチによると、免税店販売などのトラベルリテール部門でも中国の旅行客からの売り上げが8割に上る。
7-9月期は競合するポーラ・オルビスホールディングスや韓国のアモーレパシフィックも営業利益が市場予想を下回った。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の佐藤和佳子シニアアナリストは、中国の減速で化粧品セクターは成長率の低下が予想されるとした上で、「中国での恩恵が大きかった日韓企業への影響がグローバルで見て大きい」と指摘する。ブルームバーグのデータによると、同氏は資生堂をカバーするアナリスト12人のうち唯一「売り」を推奨している。
佐藤氏は21年10月に資生堂を「アンダーウエート」に格下げし、直近の目標株価は担当アナリストの間で最低の5000円としている。だが資生堂の15日終値は4480円とその水準をも下回る。