神宮外苑、宮下公園「やりたい放題」の都市開発 行政の"異例な柔軟対応"が疑われている
自然が残り、市民の憩いの場となっているエリアの開発では、東京・新宿区の明治神宮外苑地区の再開発も問題含みだ。
三井不動産、宗教法人明治神宮、伊藤忠商事などによる計画が「東京都公園まちづくり制度」の適用を受け、再開発が進む。樹木の伐採反対に端を発した反対活動は多数の著名人も参加し、今も拡大中だ。
この再開発には、隣接する伊藤忠商事の本社ビルの建て替え計画も含まれている。その伊藤忠本社ビル敷地内には今年10月、外苑再開発に反対するメッセージ(落書き)が書き込まれたりもしている。
だが、再開発がストップする気配はない。「伊藤忠商事の本社ビルの高さを現状の約90メートルから約190メートルへ引き上げることのメリットが大きいと感じているからだ」という解説が開発関係者から聞こえる。
現状、神宮外苑に面する青山通りには港区が定めた60メートルという絶対高さ制限がある。現在の伊藤忠本社ビルは特例的な運用で約90メートルの高さが認められている。「約190メートルの実績をつくれば、ほかのビルも高くしやすくなるだろう」と関係者は語る。
神宮外苑再開発事業者側が作成し、東京都に提出した「神宮外苑地区公園まちづくり計画」の「提案書」では、「計画地周辺に配慮しつつも、高度化を図っていくことで、青山通りに相応しいスカイラインを形成していく」と、青山通りの将来像にも触れられている。
伊藤忠商事に恩義
「三井不動産は、本社ビルの高層化を計画した伊藤忠商事に恩義を感じているようだ。三井不動産の主要ビルに伊藤忠系のコンビニ、ファミリーマートが多いのはそのためとも言われている」(前出の関係者)。実際、今年3月にグランドオープンした東京ミッドタウン八重洲などにファミリーマートが入っている。
青山通りの摩天楼化には疑問の声もある。「外苑前はオフィス立地としては一等地とはいえず、青山通り全体を高層化したところで需要は多くない。伊藤忠商事の本社ビルくらいは満床にできても、ほかまで手を広げるのはやりすぎだろう」(不動産関係者)。
相次ぐ大型開発で都心でもオフィス市場に飽和が懸念されている。引くに引けない神宮外苑再開発の成り行きは不透明なままである。
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