秋田水害、住宅修理進まず、800世帯が越冬の危機 困窮する被災者、なぜ支援は届かないのか?

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支援制度が十分に周知されていないため、申請すらできていない被災者も少なくない。

74歳の母親、11歳の息子と床上浸水した自宅で3人暮らしの女性(45歳)は、「何を申請すればいいかわからない」と途方に暮れている。幸いなことに、秋田県外からやってきたボランティアと、弁当配付の支援を通じて知り合ったことで別のボランティアの紹介を受け、8月下旬から台所と1階の部屋の応急復旧工事が始まった。ただ、冬が迫る今も「トイレと風呂場の修理には着手できていない。布団も暖房器具も足りない」(女性)。

この女性が言うには、「いろいろな支援の制度があるというけれど、どれが利用できるのかよくわからない。11月に入って、市役所の職員が訪問しに来たが、あいにく自宅には高齢の母親しかいなかったため、きちんとコミュニケーションが取れていない」。

なぜ制度を利用できないのか?

前ページの表から明らかなように、賃貸型応急住宅と比べると、住宅の応急修理制度の利用者は比較的多い。秋田市によれば、相談件数1263件に対して、申請件数543件、契約件数243件(11月1日時点)となっている。対象となる住宅が全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊と広範囲にわたるためだ。ただ、その合計数が3430件であるのと比べると、実際の制度の利用件数(契約件数)は1割にも満たない。

前出の会議で配付された報告書では、NPO法人から「支援制度に関する相談・支援が必要な世帯=37.3%」という指摘もなされた。同報告書には、「冬を越すために、今使える支援を最大限使えるようにすることが大切」「応急修理制度、みなし仮設、公費解体制度の柔軟な運用が求められる」との記述もある。

現在、秋田市が秋田市社会福祉協議会とともに取り組んでいる戸別訪問活動では、暖房器具や寝具のニーズ調査とともに、支援制度の周知やその利用を促すことも重要な目的の1つとなっている。市の職員が賃貸型応急住宅や応急修理制度などの内容を記したチラシを配付し、「支援制度の申請はお済みですか」などと声をかけている。

ただ、さまざまな制度がある一方で、周知が不十分で対象者が限定される制度も多いことから、前出の女性のように「いったい何が使えるのかわからない」という声は少なくない。各種支援制度を担当する部署がばらばらで、縦割りになっていることも、利用が進まない一因になっている。

たとえば秋田市では、住宅整備課が賃貸型応急住宅を担当。住宅の応急修理は都市総務課が、被災者生活再建支援制度は福祉総務課がそれぞれ所管している。

1つの部署に業務が集中し過ぎないようにするためと見られるが、被災者にしてみれば、住宅の再建1つにしても、さまざまな課を渡り歩いて自分に合った支援策を探し出さなければならない。これとは別に秋田県の支援メニューもあり、別に問い合わせが必要だ。

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