「トレーダー598人クビ」AIの計り知れない影響 人間にしかない「創造的発想力」とは何か
おかげで598人のトレーダーは仕事がなくなり、荷物をまとめて家に帰らされる羽目になった。では、残る2人はどうして解雇を免れたのだろうか? AI の業務を補佐する人員が必要だったからである。残った2人はAI の指示を受ける立場に降格したのだ。
AI が最も得意とするのは「知識」と「技術」を積むことである。人間はこの二領域でAI に追い付くことは絶対にできない。その前に人間固有の能力を身に付けなくてはならないのだ。
人間にしかない「能力」に注目せよ
人間固有の能力の1つに、創造的発想力がある。創造的発想力とは、これまでなかったことを新たに創り出したり、既存のものに革新を起こしたりする能力のことであり、通常、以下の3種類に分類される。
ビッグC(Big creative imagination)=人類史に残る発明を成す発想力
ミドルC(Middle creative imagination)=ビッグCとリトルCの中間
リトルC(Little creative imagination)=日常的な問題解決能力と変化に対応する適応力
上記の通り、ビッグC は、人類の歴史に足跡を残すレベルの創造的発想力のことだ。アレクサンダー・グラハム・ベルの母親は、聴覚障がい者だった。ベルはそのことをいつも気にかけ、母親の役に立ちたいと思っていた。
聴覚障がい克服のための研究を始めたベルは、母親以外の聴覚障がい者たちとも交流を深めるようになる。ベルの関心は、「お母さんの聴覚障がいの克服」から「人類の聴覚障がいの克服」まで広がったのだ。ベルは聴覚障がいと言語障がいがある子どもたちのための学校を建て、自分の人生を障がい克服のための発明活動に捧げた。
その結果、彼の発明は現代式補聴器の基盤となり、電気装置が装着された最初の補聴器と電話機まで生み出した。