販売台数も期待外れ「EV市場」に広がる不安の正体 早くも過当競争に突入、大投資は大丈夫か?
フォードとGMは、工場の再編や、EV、バッテリー、その他の部品を生産する新工場の建設に数十億ドルを投じており、計算を誤れば、重大な結果を招くおそれがある(クライスラーやジープ、ラムを傘下に持つステランティスはまだ、完全なEVをアメリカで販売していない)。
中国やヨーロッパでも、EV販売の伸びは数カ月前に比べ鈍化してきている。
それでも、EVの販売はどの自動車カテゴリーよりも急速に伸びている。アメリカでの販売は今年100万台を上回り、過去最多となる見通しだ。調査会社コックス・オートモーティブによると、アメリカの新車販売に占めるバッテリー駆動車の割合は今年7〜9月に8%となり、昨年の6%から拡大した。
だが、かつて人気を誇ったEVの中には、売り上げを落としているものもある。フォードは11月2日、1年前に大幅な値上げを行った「マスタング・マッハE」の10月の販売が前年同月比で10%減となったことを公表した。
競争激化で、あのテスラも値下げ
「EVの需要は依然として強い」。フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)はアナリストにそう語る一方で、競争激化によって価格が押し下げられたとも述べた。
コックス・オートモーティブによると、各メーカーはここ1年で完全なEVの新モデルを少なくとも14車種、市場に投入した。
「需要は少しずつ伸びてきているが、供給や生産の伸びには追いついていない」と、#1コクラン・オートモーティブのロブ・コクランCEOは言う。ペンシルベニア州とオハイオ州で34の販売店を展開する同社は、フォード、シボレー、ヒョンデ、フォルクスワーゲンを含む主要ブランドのほぼすべてを扱っている。
EV市場で他社を圧倒し、直近四半期の販売台数のほぼ半分を占めるテスラですら、販売の苦戦から数千ドルの値下げを余儀なくされている。