【産業天気図・化学】エチレンはフル生産。大手4社で明暗、設備投資増額の動きも

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エチレン生産は2005年1~10月累計で約630万トンで前年同期比0.9%増。ここのところプラント稼働率はほぼ100%のフル生産状態が続いている。おそらく05歴年ベースでもエチレン生産は微増となり、02年を底に3年連続して増産となろう。
 その中で発表された化学会社の05年9月中間期決算は期初予想を上回る例が多く、原料ナフサの価格高騰をある程度、製品価格に転嫁する一方、電子材料などの好調で業績を支える会社も目立った。化学大手4社は全社増収となったが、三井化学<4183.東証>(20.8%減)と旭化成<3407.東証>(13.9%減)の2社は営業減益となり、通期の営業利益予想を三井化学が110億円、旭化成は50億円減額した。これに対し三菱ケミカルホールディングス<4188.東証>(10月から共同持ち株会社に)は5.8%、住友化学<4055.東証>は4.5%の営業増益となり、三菱は10億円、住友化学は100億円と営業利益予想を増額修正した。三菱は期末6円配(半期ベース)の予定で、来期は12円配に進む可能性が出てきた。
 今下期、各社は為替は1ドル=110円、国産ナフサは4.5万~4.7万円(上期は3.8万円がベース)を想定、その製品価格転嫁には慎重な姿勢で、石油化学部門の収益は上期に比べて低下する見通しを立てている。その中で住友化学と三井化学の両社は通期の設備投資を増額した。住友化学はサウジ・ラービグ石化プロジェクトの第1回投資分500億円が加わるため。三井化学は「EPT(エチレン・プロピレン・ターポリマー)など機能性材料の投資を拡大する」(藤吉建二社長)ため、当初の980億円を1200億円に増額した。 
【宇田川日出雄記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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