これからの「安心安全」な教育行政の話をしよう 熊本から世界の教育に資するためにできること

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遠藤 これは従来のやり方を超える、想定外の使い方で、驚きがありました。コロナ後の活用では、多くの学校の教室をつないで1000人規模で授業をすることもできるようになった。

子どもの権利とか、自分たちの町のために何ができるかという議論を、学校をつないで、1000人規模でやった授業の様子は、Kumamoto Education Weekでも配信しています。

そんなことができるなんて、思ってもみないことでした。

世界の教育に貢献することを目指す

宮田 そこまで実践するとなると、現場の大変さ、負担もあったのではないでしょうか。

遠藤 上から言われて「やらなきゃいけない」ということだったらそうでしょうね。しかし、教育委員会が方針を決めて、それに従って先生方がやっていたわけではない。

お話ししたように、私たちにはまったく想定していないことだったのです。「こういうことができるかも」と思いついた先生が自ら取り組んでいるんですね。

新しいことを思いついた先生が取り組みやすい環境を作る、これが教育委員会の仕事だと考えています。先生方に、こんな制限があるからこれはできないね、と思わせないようにすることです。

これまでの考え方では、いろいろなことをできないようにして、何もさせないのが「いちばん安全」なことだったかもしれません。でも、これからはそうではない。

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正しい答えがないからこそ、主体的にやってみよう、という動きが出てきます。それを妨げず、試せる環境でありたい。

私たちは、熊本市の教育委員会ですから、熊本市の子どもたちを幸せにするのが使命です。同時に、日本と世界の教育に貢献するというのも、私たちの使命だと思っています。

子どもたちに、自分の住んでいる周りの世界をよくする力をつけてほしいと言いながら、自分たちはリスクをとらずに小さな世界に籠もるというのでは、説得力がないでしょう。大人として、見本を見せたいと思っています。

宮田 ありがとうございました。

遠藤 洋路 熊本市教育長

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えんどう ひろみち / Hiromichi Endo

熊本市教育長。高知県生まれ、埼玉県育ち。1997年文部省(現・文部科学省)入省。2002年ハーバード大学ケネディ行政大学院修了(公共政策学修士)。2007年4月熊本県教育庁社会教育課課長。2009年8月内閣官房知的財産戦略推進事務局総括補佐。2010年10月同省退職、同年11月より「世界に誇れ、世界で戦える日本」のための人材・政策・組織を創るために起業した『青山社中株式会社』の共同代表を務める。2017年4月より現職。2022年5月より兵庫教育大学客員教授を兼任。著書に『みんなの「今」を幸せにする学校』(時事通信社、2022年)

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宮田 純也 一般社団法人未来の先生フォーラム代表理事

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みやた なおや / Naoya Miyata

早稲田大学高等学院、早稲田大学教育学部教育学科教育学専攻教育学専修卒業、早稲田大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)。日本最大級の教育イベント「未来の先生フォーラム」創設や2億7100万円の奨学金設立など、様々な教育に関する企画や新規事業を実施。株式会社未来の学校教育 代表取締役などを務める。編著書に『SCHOOL SHIFT』(明治図書出版)。監修に『16歳からのライフ・シフト』(東洋経済新報社)。

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