住友化学の最悪決算招いた経団連会長の経営判断 外部要因への耐性低く複数事業が同時に炎上
まず、汎用的な石油化学製品(以下、石化)を中心とするエッセンシャルケミカルズ事業。上期は444億円の赤字と厳しい結果で、通期予想を従来の70億円の赤字から750億円の赤字(前期実績は342億円の赤字)へ引き下げた。680億円もの減額幅は今回の下方修正の最大の要因だ。
中国の景気停滞影響がアジアに波及し、幅広い用途に使われる石化製品が苦戦しているのは各社とも共通している。住友化学はそこに加え、サウジアラビアに合弁会社のペトロ・ラービグを抱えているため一層苦しい。
ラービグは石化製品の他に、市況変動の影響を強く受けやすいガソリンや軽油などの石油精製品も手掛けている。これらの市況が昨夏以降、原油価格のピークアウトとともに急落している。
抗精神病薬「ラツーダ」がパテントクリフで下落
次に、上期に655億円という主要事業で最大の赤字を計上した医薬品事業。通期予想は従来の610億円の赤字から690億円の赤字に引き下げた(前期実績は162億円の黒字)。
低迷の理由は明確だ。連結子会社の住友ファーマ(住友化学の持ち分比率は51.58%)の稼ぎ頭だった抗精神病薬「ラツーダ」の特許切れ(2023年2月で独占販売期間が終了)に伴う他社製のジェネリック(後発)医薬品の登場、いわゆるパテントクリフ(特許の壁)が響いている。
ラツーダの落ち込みは期初に見込んでいたよりも大きくなっており、さらにポストラツーダとして拡販に注力する基幹3薬のシェアアップも遅れている状況にある。
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