住友化学の最悪決算招いた経団連会長の経営判断 外部要因への耐性低く複数事業が同時に炎上
その中で事業拡張に踏み切る判断をしたときの社長が米倉氏の後を継いだ十倉氏だ。2012年にアラムコと共同で総事業費が当初見込みで70億ドル、最終的には91億ドルにのぼった大幅な増強を決めて石化製品の生産能力を倍増させた。
結果的にこの拡張が住友化学の業績へのラービグの影響を高め、足下のダメージを大きく広げている。
ラービグは何らかのテコ入れをする必要はあるものの、岩田社長は「石油精製品の高度化が必要だが、そのためには巨額の投資がいる。石油精製品のような市況に左右されるものに(今後も)投資をするのは難しい」と話す。
メチオニンでは他社の増産リスクを見誤った
メチオニンの事業規模を拡大してきたのも十倉氏が社長の時代だ。2016年に500億円を投じて愛媛にプラントの新設を進め、それまで15万トンだった生産能力を2018年の完工で25万トンへ増やした。
鶏飼料添加物は人口増加に伴う食肉需要の拡大により安定した市場成長が期待できるという考えからだった。誤算だったのは、そうした製品はよそも狙うということ。差別化が容易ではない市況製品なのに、他社の増産リスクを見誤ったようだ。
足下の状況を受け、住友化学はメチオニンの生産能力を2025年3月末までに2019年3月末比で3割減らすことを検討するという。
【2023年11月15日15時50分】初出時の生産能力の説明について一部に誤りがありました。上記の通り修正いたします。
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