新NISAで気をつけたい長期投資に向かない投信 セールストークに惑わされないためには
この時、多くの投資信託会社が一斉に「IT関連投資信託」なるものを設定しました。当時のソニーやソフトバンク、光通信、NTT、パナソニックといった企業をIT関連企業と定義付け、それらの株式を組み入れて運用するというコンセプトでした。
運用成績は、確かに設定当初は順調に伸びていきました。何しろ当時はITバブルの真最中。ヤフー(現LINEヤフー)の株価は、1997年11月の上場初値こそ200万円でしたが、わずか2年で50倍になり、2000年1月19日には何と1億140万円まで上昇したのです。
そして実際、ITは私たちの生活になくてはならない存在になっています。ITという言葉自体はそれほど用いられなくなりましたが、IoTやDXなどによって私たちの生活が非常に便利になったのは事実です。今もその進化はとどまるところを知りません。
マーケットの値動きに翻弄されることも
しかし、株価はどうだったのかというと、2000年に入ってITバブルが一気に崩壊し、IT関連銘柄の株価は軒並み大暴落しました。前出のヤフーは、2000年2月22日につけた最高値が1億6790万円で、ITバブル崩壊後の2001年9月4日につけた最安値は182万円でした。
これを受けて、IT関連投資信託の基準価額も大暴落しました。その結果、多くのIT関連投資信託が運用を継続することができなくなり、いつの間にか大半が償還に追い込まれていきました。
このようにテーマ型投資信託は、仮にそのテーマが長期的なものであったとしても、マーケットの値動きに翻弄された挙句 、投資信託の運用自体が短命に終わるケースがあるのです。したがって、テーマ型投資信託は、長期的な資産形成には向いていないとしてもいいでしょう。
投資信託のなかには、非常に高い分配金を提示しているものがあります。分配金とは、前回の決算日の翌営業日から、今回の決算日までの運用によって得られた利益の一部などを、投資信託の保有者に対して還元するものです。
分配金を受益者に支払う時は、投資信託に組み入れられている株式や債券を売却して現金をつくらなければなりません。これが運用の効率を大きく削ぎ落としてしまいます。
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