中国の華北・東北地方を襲う「異常高気温」の背景 北京の10月平均気温は観測史上2番目の暖かさ

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中国の首都北京市は、記録的な高気温と同時に大気汚染の悪化にも直面している(写真はイメージ)

2023年秋は、中国の華北地方と東北地方が記録的な高気温に見舞われている。中国気象局の観測データによれば、首都北京市の10月の平均気温は摂氏15.6度と、10月としては2006年の16.1度に続く観測史上2番目の暖かさを記録した。

北京だけではない。10月31日には、山西省、河北省、山東省、河南省などの50を超える気象観測点で、10月下旬の最高気温記録を更新した。天気予報サイト「中国天気網」の分析によれば、中国全土の大部分で10月以降の気温が高めに推移しており、地域によっては平年より2~4度も高く、なかでも華北・東北地方の暖かさが際立っている。

「華北・東北地方の高気温には主に3つの要因がある。第1に、(シベリアから南下する)寒気の勢力が弱いこと。第2に、暖気の勢力が(平年より)強く、華北平原などに暖かい空気を伴う高気圧の張り出しが多く見られること。第3に、中国北部で降雨が少なく、晴天続きで気温が上昇しやすいことだ」。中国天気網の气象アナリストの石妍氏は、現状をそう分析する。

中国中央气象台の首席予報官を務める方翀氏の見方によれば、今秋の高気温は(複数の要因のなかでも)寒気の弱さの影響が最も大きい。「北極圏上空で発生する冷たい空気の渦がこのところ高緯度に偏っており、(中国北部への)寒気の流入が平年より顕著に弱まっている」(方氏)

大気汚染悪化の一因にも

ほかにも、中国全土の大半の地域、とりわけ華北・東北地方において、高度約10~100キロメートルの中層大気が長期にわたり西北方向からの気流の影響を受けている。そのため晴天が続き、太陽の輻射熱による気温上昇を招いているという。

今秋の異常気象は、北京市、天津市、河北省などでの大気汚染悪化の一因にもなっている。中国天気網によれば、華北地方や黄淮地方(黄河および淮河の流域)では気温の上昇に加えて、風が弱く湿度が高い穏やかな天気が続き、大気汚染物質が拡散せず濃度が高まりやすい状況だ。

ある気象専門家は、大気汚染悪化の背景には地球規模の気候変動の影響があると指摘し、次のように警鐘を鳴らした。

「地球温暖化に伴う気温の上昇は、(光化学スモッグの原因物質の1つである)大気中のオゾンの濃度を高める。また、エルニーニョ現象の発生や夏季アジアモンスーンの変化が(中国上空の)大気の安定性に影響を及ぼし、大気汚染を悪化させている可能性がある」

(財新記者:楊玉琪)
※原文の配信は11月3日

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