リニア「中間4駅」活性化の議論に足りない視点 客を呼び込むためには「何本停まるか」が重要
一方で、森地名誉教授は「1時間に何本停まるかは駅の需要動向によって決まってくる」とも話す。停車回数をむやみに増やしたところで、そのまま利用者が増えるとは限らない。需要が少なければ停車を増やしても乗客は増えないので、おのずと停車回数は減る。北海道新幹線には1時間に1本どころか、1日に7本程度しか停まらない駅もある。
リニアが完成に近づき運行計画が練られる段階になれば、中間駅に何本停まるかという議論が重要性を帯びてくる。おそらく各県から「できるだけたくさん停めてほしい」という要望がJR東海に寄せられるはずで、その際には中間駅の需要がどのくらいあるかが決め手になる。
そのためにも、各県は中間駅周辺の需要動向だけでなく、県をまたぐ広域から利用者を呼び込んで需要を大きく増やせるような計画を今から構築しておくことが重要となる。
沿線4県も静岡県に働きかけを
なお、各県の知事からはJR東海に開業時期の明確化を求める声が相次いだ。開業時期が決まらないと具体的な施策を立てられないし、その地域に進出を検討する企業にしても、開業時期が未定のままでは判断しようがないからだ。
とはいえ、静岡県の反対により静岡工区の工事が始まらない状況では、JR東海も開業時期を決めようがない。4県の知事たちは壇上から降りたその足で首相官邸に出向き、岸田文雄首相に面会して、「リニア開業時期の見通しをつけてほしい」と迫った。これに対して、岸田首相は「ぜひ知事のみなさんも全体のプロジェクトが進むように、関係自治体等にも働きかけてもらいたい」と返した。
他人事のような返答が気になったが、岸田首相の発言には正しい部分もあると思う。4県の知事はJR東海や国を当てにするだけでなく、自らも静岡県に対して工事の早期着工を働きかけることが必要だ。
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