リニア「中間4駅」活性化の議論に足りない視点 客を呼び込むためには「何本停まるか」が重要
たとえば、長野県の中間駅は飯田市内に設置される。東京と飯田、大阪と飯田を結ぶ高速バスの所要時間はどちらも4時間を優に超えるが、リニアなら1時間もかからない。この時間短縮効果を中間駅周辺だけでなく、高規格の幹線道路などと組み合わせれば、ほかの都市にもその効果が広がる。さらにICT技術と組み合わせてリアルとバーチャルを融合すれば日本の国力向上につながるという。
森地名誉教授が中間駅を核とした広域中核地方圏を形成する構想を発表したあと、4県の知事が中間駅を活用した地域活性化の取り組みを発表した。神奈川県の黒岩祐治知事は、「羽田空港から品川まで京急で15分。品川から神奈川県駅までリニアで約10分。乗り換えに5分かかるとして30分で羽田空港とつながる」と、リニアのメリットを強調したうえで、「リニアが通れば人を吸い取られてしまう」と危機感をあらわにした。
そこで、神奈川県内の中間駅で降りたくなる取り組みとして、日本国内の先端技術を結集してロボットの社会実装の加速化に取り組む「さがみロボット産業特区」と中間駅を連携させる構想を示した。JR東海と連携して中間駅付近にR&Dセンターを設置するなどの検討が進められている。
「プライベートジェット向け飛行場」構想も
他県の知事もそれぞれ独自の構想を披露した。たとえば、山梨県の長崎幸太郎知事は山梨県にできる中間駅と中央自動車道、中部縦貫自動車道がつながる交通結節点として整備するとともに、「プライベートジェット向け飛行場の建設を視野に入れる」と大胆なアイデアをぶち上げた。さらに、東京圏からリニアで25分という近接性を活かして、テストヘッド(実証実験の場)として機能させ、「山梨県を世界に先駆けて新たな価値を創造する近未来の窓口にしたい」と意気込んだ。
長野県の阿部守一知事は「リニアと高速道路を一体化する関連道路の整備」を推進するとして、そのための国の財政支援を要望した。岐阜県の古田肇知事は、中間駅が地上に設けられ、長さ1.3kmにわたる高架橋が建設されることにより、「地区を隔てる壁にならないよう、周辺整備に取り組む」とした。また、駅舎についても「地域景観になじむ岐阜県らしい駅」にするなどの提案をした。
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