スマホが「実況中継」を根底から変え始めた ボルチモア暴動で迫真の報道

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「Periscope」は、リリースしてわずか3カ月弱というアプリであり、これから発展する可能性を秘めている。5月6日、「Periscope」の創業者であるKeyvon Beykpourは、ベンチャー系のイベント『Disrupt NY』において、将来的に地図サービスとのより深い連携を示唆した。

現在も、実況者の現在地を表示することはできるが、自分の位置情報とひも付けたり、特定の地域に絞って実況を探すことはできない。そのため主に英語圏ではあるが、国を問わず有象無象の実況であふれかえっているのが現状だ。それに、すべての実況に対してつねに通知されるようにしていては、フォローしている相手が増えるにつれて、ひっきりなしにスマートフォンの画面が埋めつくされてしまうことになる。

今後、地図との連携が進めば、よりローカルな話題に絞って自分が欲しい実況だけを体験することもできる。

「世紀の一戦」を中継してしまうと・・・

ただし「Periscope」には問題点も数多くある。そのひとつが、プレミアム放送の「海賊行為」だ。事件の中継や速報のみならず、スポーツも実況と生中継に最も適したコンテンツのひとつだが、5月の始めに大変印象的な出来事があった。それがパッキャオ対メイウェザーという、ボクシングファンが待ち望んだ「世紀の一戦」だ。

米国ではHBOとCBSというケーブルテレビ局によるPPV(ペイ・パー・ビュー、すなわちその番組を見るために課金すること)の仕組みで放映されたが、現地からこの一戦を「Periscope」で中継する者が後を絶たなかった。Twitterとも連携されたことから、Periscopeで無料で見たユーザーの数は累計で数百万人に上るとされる。

無料で見られることもさることながら、テレビ局という「プロ」が用意した画一的な視点ではなく、自分の好みにあった角度・親しみやすい実況をするチャンネルにアクセスして楽しめる点は、ユーザーを引きつけたのではないだろうか。

「Periscope」は、実況するユーザーにとっても見るユーザーにとっても、これまでになかった体験をもたらしてくれるツールであることに間違いはない。ただし、既存のルールを無視し続けた利用を放置してしまえば、かつて一世を風靡したP2Pネットワークを使った音楽共有サービス「ナップスター」のように、厳しい規制によって一気に衰退することにもなりかねない。

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