ガザ虐殺正当化へ「広島」を持ち出すイスラエル 民間人の犠牲は不可避と強弁

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人権運動家に加え、ヨーロッパと中東の政府の多くは、イスラエルのこうした主張を一蹴。数週間でガザの市街区を瓦礫の山に変え、学校やモスクをはじめ一見して軍事施設とは思われない標的を破壊したイスラエルは戦争犯罪に手を染めている、と非難している。

これはやむを得ないものだ、とイスラエル当局は主張する。イスラエルの推計で3万人とされるハマス戦闘員はガザの220万人の人口に紛れ、民間施設の内部や地下に武器を隠している。イスラエル当局はまた、ハマスがイスラエルの民間人を意図的に殺害した罪は明らかだとも主張している。

病院の誤爆は「戦争犯罪ではない」

罪のない民間人を殺さずに敵を倒すことは不可能であり、この点はアメリカとその同盟国が理解すべき教訓だとイスラエルは言う。

「1944年、イギリス空軍はコペンハーゲンのゲシュタポ本部を空爆した。まったくもって正当な標的だった」。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は10月30日、国民への演説でこう述べた。

「しかしイギリスのパイロットは標的をはずし、ゲシュタポ本部ではなく、近くの小児病院を爆撃した。84人の子どもが負傷・焼死したと思う。これは戦争犯罪ではない。このようなことでイギリスは非難されない」(実際には、この空爆は1945年のもので、学校が爆撃を受け、子ども86人と大人18人が死亡したとされる)

イスラエル当局はまた、イラクがアメリカ占領下にあった2004年にアメリカがファルージャで武装勢力と戦った戦闘、そして2016~2017年にモスルでアメリカがイラク政府軍とともに戦ったテロ組織ISとの戦闘も引き合いに出した。

そして、10月7日のハマスによる攻撃を受けてアントニー・ブリンケン国務長官がイスラエルを訪問中、イスラエルの高官は私的な会話でアメリカによる1945年の広島と長崎への原爆投下も引き合いに出した。

「アメリカがモスルからISを追放するために有志連合を率いたときもそうだったが、どのような戦闘状況でも民間人犠牲者は出ていた」。イスラエルのマーク・レゲフ政府報道官は10月24日、アメリカ公共放送PBSのインタビューでそう語った。

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