BYD第3弾「SEAL」超速開発と思えぬ完成度の脅威 スピーディな開発力こそBYDのポテンシャル

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アクセルペダルを踏み込んでいくと、足の動きに合わせるように加速が高まっていく。その感覚は、いってみればナチュラル。全長4800mmの比較的、余裕あるサイズによるちょっと落ち着いたイメージと、齟齬(そご)がないように思えた。

ドライブモードは「ノーマル」で十分な速度感があったが、助手席に座ったBYDのインストラクターが勧めるとおり「スポーツ」を選ぶと、前輪が車体を引っ張ると同時に、後輪がぐいぐいと前に押しだす感覚で、強い加速が味わえる。

P(パーキング)スイッチの左のダイヤルでドライブモードを選択する(写真:BYD AUTO)
P(パーキング)スイッチ左のダイヤルでドライブモードを選択する(写真:BYD AUTO)

最終コーナーを立ち上がって、900mあるという珠海国際サーキットのホームストレートの入り口で加速すると、速度はあっというまに時速180kmを超える。

BYDが用意している性能諸元表をみると、BEVであるシールには(他社と同様)速度制限が設けられていて、時速180kmとあった。試乗車は、リミッターが解除されていたのかもしれない。

シールは時速180キロの高速域でも安定していて、BYD車が力を入れてはじめているドイツなど、巡航速度の高いヨーロッパでも通用しそうだ。

足まわりの設定は、しっかりしている。コーナリングでは、車体のロール角が抑えられていて、期待以上の速いペースで駆け抜けることができた。

長い前後長をもったルーフとファストバックスタイルの組合せが上品で魅力的に見える角度(写真:BYD AUTO)
長い前後長をもったルーフとファストバックスタイルの組み合わせが上品で魅力的に見える角度(写真:BYD AUTO)

その反面、パドック近辺でゆっくり走らせてみたときには、スポーツカーのような硬さを感じることもあり、スポーツセダンという印象だった。

ツインモーター仕様には「iTAC (インテリジェント・トルク・アダプションコントロール)」が備わり、車輪の駆動トルクを制御。滑りやすい路面などでの挙動安定性の向上をうたう。

サーキット走行中、コーナーで一瞬、挙動が乱れたことがあったが、トルクが変動して車両の姿勢が立ち直ったのを瞬間的に感じた。これはiTACの介入のようだ。

スタイリングは古典的なセダンでも

BYDオートのヘッド・オブ・デザインは、アウディ出身のウォルフガング・エッガー氏。氏は、シールのエクステリアデザインについて、「エンジン車で確立されたプロポーションは美しいので、BEVにもそれを継承したい」と、インタビューで語っていたのを読んだことがある。

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