アクセルペダルを踏み込んでいくと、足の動きに合わせるように加速が高まっていく。その感覚は、いってみればナチュラル。全長4800mmの比較的、余裕あるサイズによるちょっと落ち着いたイメージと、齟齬(そご)がないように思えた。
ドライブモードは「ノーマル」で十分な速度感があったが、助手席に座ったBYDのインストラクターが勧めるとおり「スポーツ」を選ぶと、前輪が車体を引っ張ると同時に、後輪がぐいぐいと前に押しだす感覚で、強い加速が味わえる。
最終コーナーを立ち上がって、900mあるという珠海国際サーキットのホームストレートの入り口で加速すると、速度はあっというまに時速180kmを超える。
BYDが用意している性能諸元表をみると、BEVであるシールには(他社と同様)速度制限が設けられていて、時速180kmとあった。試乗車は、リミッターが解除されていたのかもしれない。
シールは時速180キロの高速域でも安定していて、BYD車が力を入れてはじめているドイツなど、巡航速度の高いヨーロッパでも通用しそうだ。
足まわりの設定は、しっかりしている。コーナリングでは、車体のロール角が抑えられていて、期待以上の速いペースで駆け抜けることができた。
その反面、パドック近辺でゆっくり走らせてみたときには、スポーツカーのような硬さを感じることもあり、スポーツセダンという印象だった。
ツインモーター仕様には「iTAC (インテリジェント・トルク・アダプションコントロール)」が備わり、車輪の駆動トルクを制御。滑りやすい路面などでの挙動安定性の向上をうたう。
サーキット走行中、コーナーで一瞬、挙動が乱れたことがあったが、トルクが変動して車両の姿勢が立ち直ったのを瞬間的に感じた。これはiTACの介入のようだ。
スタイリングは古典的なセダンでも
BYDオートのヘッド・オブ・デザインは、アウディ出身のウォルフガング・エッガー氏。氏は、シールのエクステリアデザインについて、「エンジン車で確立されたプロポーションは美しいので、BEVにもそれを継承したい」と、インタビューで語っていたのを読んだことがある。
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