そもそもBYD車は、「ブレードバッテリー」という、独自の設計による薄型バッテリーを搭載して他社の製品とは一線を画していた。
今回のセル・トゥ・ボディで、従来以上にスペース効率が上がり、同等の性能をよりコンパクトなサイズで実現できたとメリットが強調されている。
「それだけが特徴ではありません」、そう語るのは、珠海の試乗会場で話を聞いたアジアパシフィック地域を統括する、劉学亮(Liu Xueliang)ゼネラルマネージャーだ。
「BYDは、モバイルフォンのバッテリー開発を含む受託生産事業が原点。そのため、BYDオートが手がけるクルマについても、通信とバッテリーという、重要な機能を自社開発して組み込んだクルマを作る力をもっているのです」
ワイヤレス通信によるアップデートも可能
装備は充実している。“ハイ!ビーワイディー”の呼びかけで起動する会話型ボイスコマンド、ボタンひと押しで90度回転する15.6インチのモニタースクリーン、ワイヤレス通信で数々の機能をアップデートするOTA(オーバー・ジ・エア)、そして本国では1カ月1GBまで無料で10年間使えるクラウドサービスも付随する……と、いう具合。ただし、日本仕様の詳細は現時点では不明だ。
若い世代がクルマに求めているものは、走行性能だけではない――。
私はこのところ、ヨーロッパでいくつかの新型BEVに試乗取材する機会があったが、その際、開発者が口を揃えるようにそう言っていた。
とはいえ、今回のシールの試乗は、サーキットに限定されていたので(そもそも公道を“外国人”が運転することは基本的に許されていない)、上記のシステムを実際に試すことはできず、せいぜいDYNAUDIO製の10スピーカーオーディオがいい音だということがわかった程度。
その一方、話を「走り」に移すと、こちらは印象的だった。
82.5kWhのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを使い、前輪を非同期モーター、後輪を永久磁石の非同期モーターで駆動。先に触れたとおり、最大トルクは670Nmに達するので、2185kgの車重でも重量感はほとんど感じさせない。
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