イオン、「直営は諦めない」衣料品改革次の一手 まず売り場を変えて、従業員の意識を変える
イオンはGMS(総合スーパー)の衣料を再興できるかーー。
埼玉県さいたま市にあるイオンモール浦和美園店。そこに入居するGMS、イオン浦和美園店の2階衣料品売り場が10月20日、リニューアルされた。
イオンや傘下のGMS運営子会社、イオンリテールは約10年にわたって、直営衣料品の改革を続けてきた。今回導入された「浦和美園モデル」は、売り場としての「完成形」(イオンリテールの小田嶋淳子執行役員)だ。
詳細は後述するが、類似のフォーマットを実験的に先行導入していたイオン船橋店では、売り上げが15%以上改善したという。人流回復による反動もあるとはいえ、改善幅は大きい。GMS、特に2階以上の非食品部門の改革を進めるイオンリテールは、今後このモデルを同社が運営する全国のGMSに展開していく予定だ。
市場縮小が続くGMSの衣料品
イオンに限らず、GMSの直営衣料品を取り巻く環境は厳しい。日本チェーンストア協会によると、同協会に加盟する全国のチェーンストア(主にスーパー)における衣料品販売高は2022年度に7434億円と、10年前の1兆3307億円からほぼ半減している。
特に若年層の取り込みは弱い。GMSを運営する企業の中堅幹部は「特に若い層はユニクロなどの専門店に流れてしまった。今から自分たちの力だけで取り戻すのは難しい」と苦労を口にする。
そんな環境下、業界各社は自力での衣料品販売から距離を置き始めている。今年3月にはセブン&アイ・ホールディングス子会社のイトーヨーカ堂が、赤字の続いていた自主企画の衣料品事業から2025年度までに撤退すると発表した。空いたスペースにはアパレルなどの専門店を誘致し、テナントからの賃料で収益化する。中四国を中心に展開するGMS大手のイズミも、アパレル大手のアダストリア監修の下、売り場空間・商品作りを行い、直営衣料品のリブランディングを図っている。
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