小麦高騰、パンの相次ぐ値上げ、腰が引ける麺・菓子業界
小売店も値上げを受け入れにくい。スーパーでは東日本大震災後、食品不足の影響で定価販売比率が上昇していた。ただ食品不足が解消するにつれ、消費者の財布のひもは固くなっており、5月初旬に特売を再開したばかりだ。「このタイミングでの値上げは厳しい」(都内の大手食品スーパー)との声が相次ぐ。
実際、山崎製パンも試行錯誤する。08年には全体的に値上げしたが、今回は「超芳醇」など高価格帯は据え置き、中価格帯以下の値上げに絞った。だが、SMBC日興証券の沖平吉康シニアアナリストは「前回の値上げでは低価格帯の商品群を強化し数量減を回避した。だが、今回の価格政策では価格帯が縮まるため、顧客が逃げて数量減につながるのでは」と指摘する。
震災で消費環境が不透明な中での値上げはもろ刃の剣。原料高対策として、多くの食品メーカーは工場再編などに努力するが、効果が表れるのはまだ先。今後厳しい選択を迫られそうだ。
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(麻田真衣 =週刊東洋経済2011年6月11日号)
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