京急の鉄道イベント、いったい何がスゴいか 「中の人」が明かす「鉄道フェスタ」の舞台裏
京急の宣伝担当者がRFCに出会ったのは昨年8月。東京・ビックサイトで開催された鉄道模型のイベント会場で、私鉄の運転をリアルに再現している運転会を目の当たりにしたのである。一目で惚れてオファーを送り、またRFCもいつかは京急を再現したいという思いを持っていたことから快く受託してくれた。
それから9カ月。ついにこのイベントで運転会が実現した。ファンの力をお借りして、京急線の魅力を伝える――。京急がファンに支えられていることを改めて実感した瞬間だった。
数々の想いを乗せて
第1回のフェスタ開催時に幼稚園生だった子どもたちは、今や立派な社会人になっているはずだ。数々の思い出とともに、今回が最後となる人もいた。今年9月に、定年退職を迎える京急ファインテック第3グループの佐藤厚さんは、第1回のときからスタッフとして参加している影の功労者だ。
現役最後として担当したのは、「ビンテージ仮台車」の展示コーナー。仮台車とは、検査のため台車を外した電車を乗せるために使われる台車だ。この仮台車を調べてみたところかなり古い舶来品であることがわかった。大正時代のものである可能性もあるという。現在の車両とは異なる構造で、技術的にも貴重な産業遺産だ。
しかし、この仮台車も時の流れとともにこの春新品に取り替えられることになった。そのまま廃棄されてしまうのも惜しいと、展示することになったのである。「自分も最後だから、この台車に引導を渡して一緒に引退します」と笑う佐藤さん。前日は夜遅くまで解説資料を印刷していた。
「ありがとうございます。またお会いしましょう」――。
職員が一列に並んで、笑顔で手を振る。今年は雨の予報だったが多くのお客さまにご来場いただき、無事、終えることができた。手を振る先には、イベント参加者が乗った帰りの列車が走り去っていく。最終列車をお見送りするのは、毎年の恒例行事だ。さまざまな想いを乗せて、今年の京急ファミリー鉄道フェスタの幕、いや工場のシャッターは閉じられた。来年のフェスタの幕が上がるとき、また新たなドラマがはじまる。
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