京急の鉄道イベント、いったい何がスゴいか 「中の人」が明かす「鉄道フェスタ」の舞台裏
イベントで催されるクイズなどは大半が、京急職員の仕事を紹介するものだ。そんな中、主催者以外の催し物でイベントの中核となっているものがある。ひとつは私鉄各社やバス会社による物販コーナーだ。今年は26社が参加。さまざまな会社の人気列車のグッズが手に入るとあって、毎年これを目当てに来る人もいるほどだ。
こども鉄道クイズ大会で“心の相互直通”
しかし、注目すべき点は物品販売だけではない。普段は別々の会社ではあるが、「電車に乗ってもらいたい」という想いは共通だ。そもそも私鉄同士は互いに協力関係が強く、私鉄各社をめぐるスタンプラリーなども毎年開催している。
イベント開催中2回行われた「こども鉄道クイズ大会」のステージには、私鉄各社の担当者が一団となって飛び入り参加。時間いっぱいまで各社の電車や沿線名所についてPRに努めた。首都圏の鉄道は相互直通により便利なネットワークが形成されているが、普段の路線図とは異なる“心の相互直通”とでも言うべき鉄道応援団の姿を見ることができるのも、こういった鉄道イベントならではだ。
もうひとつは、今年初めて実施した鉄道模型の運転会だ。24時間を24分に短縮して1日の京急線の運転を再現しようという壮大な試みである。これを実現したのは、鉄道路線の1日を鉄道模型で実演する任意団体RFC(Railway Fan Club)のメンバーだ。
1997年に都立高専(東京・品川)の学生を中心に立ち上がったRFCは、平均年齢27才という若いチームだ。33名のメンバーが全力で日本一の京急線レイアウトを目指して取り組んだ。
工場建屋内に設置したこの鉄道模型レイアウトは、12.6メートル×3.6メートルという大きなもので、実物そっくりに駅やポイント、信号機なども配置されている。2012年に高架化した京急蒲田駅や車庫なども再現されている。
ファンの力を借りて運転業務を再現
模型時間で朝4時50分。一番電車が出発すると、各駅を担当するスタッフや司令員が運転士とやり取りをしながらダイヤ通りに運転を再現していく。同じ電車がぐるぐる回るような模型運転会とは一線を画した実物さながらの運転に、子どもたちだけでなく、通勤に日々利用するお父さんや、京急の運転職員までもが目を丸くする。
コンピュータではなく各駅の係員が信号を扱い複雑なダイヤを実現する、京急ならではの運行方法を見事に再現している。
鉄道のイベントは数あれど、運行状況を、模型を使って再現するという催し物は珍しい。一日の運転業務をこうした形で紹介することは非常に難しく、なかなかできるものではないからだ。
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