パチンコ「ガイア」債権者に明かした倒産劇の内幕 コロナ後は綱渡り経営、銀行もしびれを切らす
ここで銀行が動く。
ガイアでは、当時会長を務めていた良原武夫氏をはじめオーナー一族の良原家が経営の実権を握ってきたが、良原家は過去の借り入れに際して、ガイア株を担保に差し入れていた。1度目の不渡り発生後、銀行は民事再生法の適用を申請しない良原家にしびれを切らし、担保権を実行した。
銀行は差し押さえた株式を、良原家以外の幹部に「いわゆる備忘価額」(代理人弁護士)で譲渡し、良原一族は取締役を退任した。備忘価額ということは、株式の譲渡価額は実質ゼロ円だったとみられる。そしてガイアの株主となった幹部らが、2度目の不渡りが目前に迫る10月30日に民事再生法の適用を申請したのだった。
「即時の資金援助」にこだわった理由
倒産までの経緯に続いて明かされたのが、スポンサーをJトラストに選定した背景だ。
ガイアは2020年に私的整理手続きを開始した時点からスポンサー探しに着手し、数十社と接触してきたという。そのネットワークを生かし、民事再生法を活用したスキームかつ、即時の資金援助が可能と目したスポンサー候補に打診。唯一、これに検討の意向を示した企業がJトラストだった。
ガイアはスポンサー契約の基本合意を結んだJトラストから50億円、主要取引先銀行からも38億円を上限とするDIPファイナンス(破綻企業向けのつなぎ融資)を取り付け、当面の資金繰りに不安はないとする。すでにJトラストからは10月31日朝に50億円が振り込まれており、必要に応じて追加のDIPファイナンスも検討されるという。
即時の資金援助にこだわった背景には、固有の業界構造が絡んでいる。
パチンコ業界は有力な遊技機メーカーが数社に限られるのに対し、その取引先であるホールは全国大手から地場チェーンまで、あまたのプレーヤーがひしめく。人気機種をライバル店よりいかに多く設置するかがホールの大きな差別化要因にもなり、メーカー側の優位性が顕著だ。
よって不渡りを起こすようなホールは、簡単に遊技機メーカーから取引をストップされてしまう。これは大手のガイアも例外ではなかった。「関西を中心に、投資余力の大きい地場チェーンは少なくない。ガイアがダメになっても、こうした企業がガイアの店舗を引き継げる」(パチンコメーカー幹部)。
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