タムロン「私的飲食に経費流用」社長の崩壊モラル 前社長から続いた「クラブでの単独飲食も経費」

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タムロンのレンズ
タムロンの自社ブランドレンズはソニーのミラーレスカメラ向けがとくに好調。業績も絶好調だが……(撮影:尾形文繁)

ホステスと会社経費で楽しく飲みたいというモラルハザードを起こした――。

そんな呆れるような内容の指摘を歴代社長2人に突きつけられた企業がある。埼玉県さいたま市に本社を置く世界的レンズメーカーのタムロンだ。高品質な自社ブランドレンズには定評がある。業績はカメラのミラーレスシフトを追い風に絶好調だ。

ところが2016年から社長の座にあった鯵坂司郎氏が、2023年8月に突然辞任。同時に常務取締役だった大塚博司氏が常務を解職され、ヒラの取締役になった。理由は、内部通報をきっかけとして鯵坂氏による会社経費の私的流用が発覚したことにある。大塚氏は鯵坂氏の行為に加担していた。

11月2日、弁護士と独立社外取締役で構成された特別調査委員会による調査報告書が公表された。そこで明らかになったのは鯵坂氏、さらには2002年から2016年まで鯵坂氏の前任社長だった小野守男氏の時代から続く「社長のモラルハザード」だった。以下、全80ページの報告書を読み解く。

ホステスの女性をハワイ出張に同伴

「ハワイのホテルの部屋はスウィートルームですか?最初の数日のみ2人でも大丈夫ですか?」

鯵坂氏は今年6月、代理店会議に出席するためにハワイに出張した。出張前、タムロンのアメリカ子会社の関係者に、宿泊先の部屋を確認するためのメールを送った。メールにつけた件名は「ハワイ㊙」。マル秘としたのも納得できる。なぜなら懇意にしているホステスの女性と同伴での出張だったからだ。

代理店会議に関する公式イベントは6月13日からだったが、鯵坂氏は8日に女性を伴いハワイ入り。13日に女性が先に帰国するまで、自分の部屋に同宿させた。女性が帰国する際には、「リムジン手配㊙」の件名で同じアメリカ子会社関係者にメールを送り、空港までのリムジンを手配させた。

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