タムロン「私的飲食に経費流用」社長の崩壊モラル 前社長から続いた「クラブでの単独飲食も経費」
鯵坂氏は6月17日まで9日間宿泊。会社が負担した宿泊費用は57万円強となる。さらにハワイでの女性との食事代13万円強を、同席者を偽ることで「打ち合わせ飲食代」とし、会社負担にした。女性のために手配した空港までのリムジン代も同様だ。
鯵坂氏は帰国後、6月8~10日に「打ち合わせ等」を行ったとして海外出張報告書を作成・提出した。しかし調査委には、8~11日を事後的に休暇扱いとすることを業務多忙のあまり秘書に伝え忘れていたと弁解している。なお女性の航空券代をタムロンが負担したかどうかは、調査で明確にならなかった。
同じ女性との同伴は、ほかの海外出張でもあった。ラスベガスとロサンゼルス、ドイツとフランス、バンコク、上海への出張と各国に及ぶ。複数回にわたり女性を同宿させ、たびたび同席者の名前を偽り飲食代を会社負担とした。
2人はどのような関係にあったのだろうか。鯵坂氏の記憶では2003年頃に女性の勤務していた、さいたま市内のクラブを訪れたときが最初の出会いだったらしい。ただ、女性のことをしっかり認識したのは2010年頃だという。最初に出会ったクラブはタムロンが会社として長年利用していた店だった。
鰺坂氏は女性との関係について、「仲のいい知人にすぎない」と調査委に述べている。だが、調査委は出張同伴などの実態から、「一般のホステスと客との関係に留まるものではなく、もう一歩深い、恋人あるいは愛人関係にあったと認めるのが相当」とした。
調査に応じた関係者の中には、ほかに懇意にしているホステスがいないと目されるため、鯵坂氏を「一途である」と評する者もいた。
11年間で約2億円を女性関連の店で使用
鯵坂氏の私的流用は出張に関するものだけではない。
鯵坂氏が2013~2023年の11年間に使用した交際費は3億2770万円となる。その65%にあたる約2.1億円が、女性の関係するクラブやラウンジ、さらには女性が共同経営しているとみられる中華料理店で使用されていた。
交際費といえば、社外の取引先との関係づくりの一環で行う接待飲食をイメージする。ただタムロンでは、社内関係者のみでの飲食も交際費として会社が経費負担することを認めていた。鯵坂氏が女性の関連するクラブなどで使った約2.1億円のうち、約85%は社内関係者との飲食などに使われていた。
調査委のヒアリングによれば、社内飲食とはいえ、仕事の話をすることは少なく、メンバーもある程度固定されていた。しかも、明細を十分に確認しておらず不必要に高いチャージ料を支払わされていたり、鯵坂氏が1本4万5000円のシャンパンをホステスにねだられるまま2~3本注文していたりしていた。
また、残り15%にあたる社外関係者との飲食とされるものでも、純粋な取引先接待に使われたものはわずかだった。
さらに鯵坂氏は、女性に関連するこれらの店で独りで飲食した費用も会社に負担させている。その額は11年間で計2610万円。「社長はストレスも大きく1人で考えることもあるため、(交際費を)1人で使ってよい」。前任社長の小野氏から、そのような引継ぎがあったと鯵坂氏は弁明した。
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