福田淳"新社長"で旧ジャニ、芸能界に起きる超変化 旧態依然とした芸能界の問題を一掃できるか

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大手芸能事務所の力が強大化しづらくなっていけば、「理不尽なキャスティング関与、共演NG、退所・独立の妨害などがなくなる」ほか、「タレントの意向を重視したマネジメントが当然」というクリーンな業界に変わっていくのではないでしょうか。

メディアの内部も変わる可能性

では、テレビ局、出版社、新聞社などのメディアはどう変わっていくのか。

タレントと芸能事務所の契約形態がフェアなものになれば、大手芸能事務所でも強大な力を持ち続けるのが難しくなり、これまでのようにメディアに強い態度で接することはできなくなっていくでしょう。

具体的に言えば、コンテンツの内容やキャスティングに関与されてしまうケースが減り、バーターの依頼を断ることが可能になり、オーディションが活発に行われていくことになりそうです。

それらが実現すれば、各コンテンツに合うタレントの起用が可能になり、おのずとクオリティ・ファースト、あるいは、カスタマー・ファーストのコンテンツ制作につながっていくでしょう。さらにこれまで制作者たちにとってストレスだった芸能事務所への過剰な配慮が不要になればモチベーションが上がり、ヒットコンテンツが増える可能性が高くなって当然なのです。

さらに、これまでよりタレントの力が強くなり、しかるべき権利の主張ができるようになれば、制作現場が適正化されていく可能性が大。

たとえば、撮影の時間、内容の確認や提案、心身のカウンセリングなどのしかるべき権利をタレントが得られるようになれば、同時に「過酷」と言われるスタッフの労働環境についても適正化されていくのではないでしょうか。

ちょうど会う機会があった民放テレビマン3人とこの話をしたら、「福田さんには期待したいし、思う存分変えてほしい」「もちろんこちらも変わらなければいけないけど、いいきっかけをもらえることになりそう」などと好意的な見方をしていました。というより、ずっと「変わりたい」と思いながらも、それができずにいただけのようにも見えます。

これまで日本の芸能界は、芸能事務所とメディアの古い価値観や慣習によって、スキルが磨かれにくく、適正な競争も行われづらく、才能が埋もれやすい世界。その結果、「世界のエンターテインメント・ビジネスから置いて行かれてしまう」「グローバルに活躍したいのなら日本を出るしかない」という状態が続いてきました。

もし世界で活躍するタレントが新会社や、他の芸能事務所から誕生したら、メディアが恩恵を受けられるだけでなく、国としてもエンターテインメント産業自体に力を注ぐようになるかもしれません。

福田さんの目指すところにどれぐらいの期間でたどり着けるのか。「スピーディ」という社名通り、私たちの思っている以上に早く、周囲を巻き込むような形で、旧ジャニーズ、芸能界、メディアを変えていくのかもしれません。もしそれができたら、日本のエンターテインメント・ビジネスを変えた功労者として、その名を残すのではないでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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