スズキ、軽EVの難題「価格」をどう乗り越えるか コンセプトカーの航続距離は競合より長く設定

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いかにして原価を低減し、販売価格を抑えるか。

eWXの開発担当者は、「EVになるからよりハイスペックにするとか、装備を良くするというのとは違う方向で考えている」と述べたうえで、「たとえばシートのリクライニング機能を付けるのをやめたらどうかとか、支障のない範囲で仕様を減らせないか考えている」とアイデアの一端を明かす。

必要最小限の装備を見極める

鈴木社長はこれまで、既存の車種についても「本当にお金をかけても必要な装備なのかどうかの見直しはやらないといけない。なくてもいいよね、というものがあれば、もっと値段を下げられる。どういう仕様にして車両の販売や値付けをすればいいか、知恵を絞らないといけない」(2022年11月の決算説明会)などと話してきた。

振り返れば、1979年に発売した初代「アルト」。既存の軽より2割以上安い価格を実現するために当時の鈴木修社長(鈴木俊宏社長の実父)が「エンジンを取ったらどうだ」と技術陣を鼓舞した逸話が残る。もちろんエンジンは取らなかったのだが、装備を簡素化して低価格を実現したアルトは大ヒットすることになる。

スズキは「小・少・軽・短・美」(ムダを省いた効率的なものづくり)を会社理念とし、ユーザーに向けては安価で生活の足になる「ゲタがわり」を標榜している。来るEV時代に向けて、求められる航続距離と価格を両立するためにも標準装備で必要最小限の機能を見極めて、突き詰められるか。それが、競合との価格競争や差別化の面で大事になりそうだ。

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奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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