スバルの「空飛ぶクルマ」ハッタリではない根拠 2人の役員に聞く「スバル大変革期」への覚悟

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「さまざまな機会で『スバル360』の断面図を紹介している。限られたスペースに大人4人が快適に座って走るレイアウトを(改めて)お見せするためだ」

そして、スバルとしての将来事業に対する基本的な考えを示した。

(今後スバル車の多くが)BEVになっても、(これまでと同じように)『人中心』でモノごとを考えて、それが『必要なことだ』とユーザーが感じることができれば、そこにおのずとスバルの味が出るはずである」

「つまりスバルの歴史を変える」

では今後、『モノづくり革新』と『新たな価値づくり』を具体的にどうやって進めるのか。綿引氏は「ものづくりの時間軸に関する考え方、つまりスバルの歴史を変える」と言い切る。

これは、開発/調達/製造のように、それぞれが独立した流れで行われるものではなく、ほぼ同時に、またはかなり少ないタイムラグで同時進行させることを指す。そのうえで、強調したのが「価値づくりとモノづくりは不可分であるべき」ということだ。

記者会見後の囲み取材の様子。手前から、航空宇宙カンパニー  ヴァイスプレジデントの齋藤義弘氏、大崎篤社長(筆者撮影)
記者会見後の囲み取材の様子。手前から、航空宇宙カンパニー  ヴァイスプレジデントの齋藤義弘氏、大崎篤社長(筆者撮影)

現状、スバルのクルマ(製品)は、ユーザーや市場の流れの中で価値を高めている。「スバルらしさ」という価値やイメージは、あとからついていくものだ。これは、愛車から「スバルらしさ」を感じ取るまでの時間が、ユーザーによって異なるとも言える。

BEVシフト進める中で、こうした状況を「どう捉えて」「どのように改善していく」のか。「スバルらしさ」を、狙って作り出していくことはできるのか。

もしかしたら、ソフトウェア領域では、メーカー/販売店/ユーザーの三者間でデータ解析ができれば、一定の方向性を見いだせるかもしれない。しかし、「(企業として)走りながら考えていく」(綿引氏)という表現を使うほど、スバルが大きく変わっていくための時間的な余裕はあまりない。

モノづくりという観点では、これまで通り「人中心」という、「スバルとして変えないこと」と、BEVシフトといった「変えていくこと」について、スバル社員が深く理解することは当然のことであり、さらにユーザーやグローバル自動車市場に対して、スバルの大きな変化の進捗をしっかりと伝えていくことが重要だと、筆者は思う。

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