日本で「クマ被害」なぜ増加?1つの興味深い視点 野生動物との「付き合い方」を見直す分岐点に

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エゾシカは明治期の乱獲で一時激減したが、ここ30年ほどで大きく増加しており、現在では、農作物や林業へのエゾシカ害は大きな問題となっている。北海道によると2021年度のエゾシカによる被害額は44億8000万円と、ヒグマと比べ桁違いに大きい。

エゾシカの個体数は約70万頭前後で推移していると考えられている。ちなみにヒグマは2020年度の推定個体数で1万1700頭とされ、1990年度の5200頭、2014年度の1万0500頭と比べても増加傾向にある。

野生動物との「付き合い方」を考える

そして、エゾシカの数の多さがヒグマを里に追いやっているとすれば、問題はヒグマだけの話ではなくなってくる。つまり、野生動物が全体的に増加している中で、人間の生活圏への野生動物の侵入という問題が発生しており、これにどう対処すべきかという話になる。

野生動物の駆除については、動物愛護の観点から批判も見られる。OSO18が駆除されたときも、主に道外から批判の電話が20件ほど寄せられたという。野生動物が人里に出てくるのは、人間が野生動物の生活圏を脅かしているからである、との発想に立っているのだろう。

「人間も自然の一部である」という観点から野生動物との共生共存を主張する立場もあるが、自然の一部というのはどういうことなのだろうか。

本来、野生においては、動物たちは決して「共生」しているわけではない。動物によっては自分のなわばりを持って生活しており、エゾシカのように繁殖期には雄1匹を中心とするハーレムを作っているものもある。ヒグマはなわばりを持っていないと考えられているが、肩を寄せ合って互いに協力して生きているわけではない。

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