また、期間を区切らずに無期限とすることで、「物価上昇を上回る賃金上昇とマイルドな物価上昇の好循環を確認するまで国民生活を支援する」とする建前と、初めて整合性が取れる。
税率を下げるに際してのこまごまとした調整の難しさや、消費の現場で作業が増えることなどの報道がされるだろうが、これらはすべて「減税の岸田」に有利に働く。
野党は「消費税撤廃」など、もっと極端な旗印を掲げて選挙に臨むだろうが、先手を打って「5%に引き下げ」と大与党の現役の首相が言うのだから、かすんでしまうに違いない。
もちろん財務省は全力を挙げて抵抗するだろう。同省寄りの学者やエコノミスト、メディアなどが岸田批判に回るだろうが、多くの国民は首相を支持するだろうし、その様子を見て、「やっと空箱男から、中の人(財務省の人)が抜けたな」と思うのではないか。メガネでなく、その奥にある目玉や表情が初めて注目されるようになる。空箱に魂が入る。
ただし、岸田首相自身やその周辺の不祥事、スキャンダルが噴出するかもしれない。そうした悪材料を首相がどの程度持っているのかは、筆者にわからない。しかし、攻撃する側から見て、加減は難しい。「岸田さんは消費税を下げると言ったので、不当にいじめられている」という印象を国民に与えることができれば、首相の勝ちだ。
故安倍晋三元首相は第2次政権中の消費税率引き上げを、財務省に押し切られたものとして無念に思っていた。この点を指摘して、アベノミクスの継承をアピールするといい。消費税率の引き下げは安倍派の支持を得られるのではないだろうか。世耕氏も反対しないのではないだろうか。
岸田政権を誰がどのように倒すのか
しかし、正直な話、岸田首相に消費税率の無期限引き下げを打ち出す勇気はまったくないだろうと筆者は思っている。だとすると、不人気な岸田政権を、誰がどのように倒すのかが次の検討テーマになる。
首相に就任して「やりたいことは人事」だという、いかにも元銀行員らしい趣味を持つ岸田首相の「ライバル封じの均衡人事」を誰が破るかだが、首相の人気が低下すると、しっかり組み上げたつもりのブロックにも隙間ができてくる。
「誰が」は、既存の候補の中からも、新顔の中からも案外簡単に出てくるだろう。誰かが出ると、複数の総理・総裁候補者が争う政局が簡単に現出するのではないか。「増税メガネ」の次のあだ名がつく前に、岸田政権は瓦解に向かうだろう。
(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)
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