「円安アレルギー」はアメリカの首を絞める 「反為替操作策」のTPPへの影響は?

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(TAKUMI-CG/PIXTA)

今から36年前、日本は自動車の輸入関税を撤廃し、表向きは、世界で4番目に大きい自動車市場が全面的に国際競争にさらされることになった。しかし米国の自動車業界によると、よく手入れされた日本の道路を走る車の93%は、今も日本のメーカーが日本で製造している。

日本に言わせれば、日本の消費者が日本車を好むだけのことだ。

通商交渉の足かせになる

しかし米国の自動車メーカーは、不適切な状況が長く続いていると主張する。すなわち、日本の政策決定者による組織的かつ意図的な円安誘導が、自動車を含むあらゆる輸入品の値段を巧みに引き上げているというのだ。

米議会では5月22日、大統領貿易促進権限(TPA:ファストトラック)法案が上院で可決された。通商交渉の権限を大統領に委ねるTPAの成立は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉締結の前提条件とされている。最大の焦点は、通商相手国の為替操作への対抗措置を盛り込む修正案で、上院では否決されたが、下院で再び提出される見込みだ。TPA法案に反対する議員が多いとされる下院でも審議は難航しそうだ。

為替操作に関する規定に反対する人々は、そのような厳しい対抗措置が必要な時期は過ぎたと指摘する。日本が公然と為替介入を実施したのは、2011年が最後だ。中国は長年、人民元の対米ドル相場を低く抑え、米国をはじめ世界の市場に中国の輸出品を浸透させてきたが、最近は対ドルで上昇傾向にある。オバマ政権は、為替の問題は外交政策で効果的に対処できると主張している。

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