驚くことにこのイベント、2001年の春頃の島田紳助氏のひとことで着想されて、その年の暮れにはもう第1回の決勝戦である。そんな短期間でも、関係者の意図が交錯し、利害が衝突し、感情もぶつかる。
手蔓を辿って協力者を探し、時に怪しい業界人も絡み、思惑がすれ違ってはまたまとめ直し、説得に説得を重ね、だんだんと構想がかたちになっていく。
吉本社内でも、マネージャーとして芸人の奮闘を間近で見ていない人材は当初あまり協力的でなかったとか、ああそういうことはあるだろうなと身につまされる。
それでもなんとか前に進んでいくのは、なんだかんだいって関係者の多くが、漫才自体の面白さ、可能性そのものは確信しており、この漫才という文化を好きなんですね。だから一度は下火になった、この文化を盛り上げようとする熱意が挫けなかった。
大成功したM-1でさえも手探りだった
もちろん、情熱だけではない。
画期的な新商品、サービスは、その革新性ゆえに可能性を言葉で説明しにくい。従って組織内で必要な支援も得られにくい。そんなときに必要な人材、予算などの経営資源は、いろいろとアクロバティックでイレギュラーな調達方法を採用することにもなる。
このとき、管理者があまり杓子定規でなく、時には柔軟な対処をしてくれればよいが、そのためにはまめに進捗を報告して感触をよくしておくとか、やっぱり大事なんだよなあ、というような「組織で仕事をする知恵」がそこここに記録されている。
新事業を立ち上げようとするビジネスマンにとって、「ああ、あの大成功したM-1でさえも最初はこんな手探りだったんだから、未知に取り組むっていうのはこういうもんだな」と励まされるケースとして、実に読み応えがある。
(後編は11月20日に公開予定です)
「M-1はじめました。」が10倍面白くなる
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