コスモ、「伝家の宝刀」封印し村上氏とバトル2幕へ 「MOM決議」でなく「普通決議」で12月14日に対決

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村上氏側はこれまでに再生可能エネルギー事業の独立や製油所の閉鎖統合、ENEOSや出光興産の傘下入りの提案などを示唆してきた。旧村上ファンドのシティインデックスイレブンスのリリースによると、6月29日に企業価値向上のための「ある提案」をコスモ側に行ったが、その後進展がなく、趣旨説明書の提出に至ったという。

「ある提案」の内容について村上氏側もコスモ側も明らかにしてない。コスモ関係者は「村上世彰氏が事業再編に関する独自案を持ち込み、受け入れなければ株を買い増すとのことだったが、(村上氏)本人が絡むような提案でコスモが受け入れるのは難しかった」と話す。

一方、コスモ幹部は「石油事業や石油開発事業は非常に収益力が高まっている。製油所の統合や事業譲渡が行われると、一般株主は『収益力のないコスモ』の株主になってしまう。どちらの言うことが株主にとって利益になるか、判断してもらう」と話し、対決姿勢を鮮明にする。

株主から「MOMはやりすぎ」の声も

臨時株主総会開催は規定路線で、焦点はむしろ、臨時総会での採決方法だった。

6月の定時株主総会で買収防衛策の「是非」を諮った際は、「村上氏側が市場内で急速にコスモ株を買い進める蓋然性が高く、一般株主が意図せず株を売り急ぐ『強圧性』が生じる」として、村上氏側の議決権を除外する奇策を導入した。

少数株主の権利を守るため大株主を除いて賛否を問う「MOM(マジョリティー・オブ・マイノリティー)」という手法だが、これは株主平等の原則を脅かしかねない「伝家の宝刀」(証券市場関係者)でもある。

2021年に東京機械製作所が買収防衛策の決議で導入し、その是非が最高裁判所まで争われ認められた経緯がある。経済産業省の「企業買収における行動指針」では、MOM決議は「例外的かつ限定的な場合に限られる」とする。

実際、6月には株主から「MOMはやりすぎ」「今後どんなにいい株主提案も、経営側が気に入らなければMOM決議を採用されてしまう」などの声が相次いだ。

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