箱根の高級旅館が繰り出す「人手不足」解決の秘策 人口減で働き手がいない町の「逆転の発想」

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具体的には、「従業員のアイデアをそのまま施設の施策として導入してしまう」という大胆なものだ。

白檀のラウンジにはコーヒーメーカーやティーバッグが置いてある。その中にあるハーブティーは4年目の従業員の発案によるものだ。自らが販売店に仕入れ交渉をし、自らブレンドした商品を売店でも販売している。

実際に白檀で提供されているハーブティーなど(写真:箱根強羅 白檀)

「仕事を任せることで面白さを知るだけではなく、コスト意識なども身につく」と内田氏は成果を口にする。実際、2016年に開業した当初の離職率は50%程度あったというが、現在は1割台と低水準で推移しているという。大手ホテルでも離職率は3割ほどだ。

人材が定着することで、接客レベルも向上する

離職防止のメリットは人手不足の解消だけにとどまらない。「常連客は特定の人に就くため、リピーターの増加、人材が定着することで習熟度が高まり接客レベル向上なども期待できる」と、宿泊施設に特化したビジネススクール宿屋大学の近藤寛和氏は指摘する。

これまで多くの宿泊施設は稼働率を高めることを重視してきたが、その販売戦略が従業員への負担を高め、人手不足を助長してきた。人手不足が深刻化するいま、宿泊施設には顧客満足度だけではなく、従業員満足度を高める経営が求められている。

星出 遼平 東洋経済 記者

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ほしで・りょうへい / Ryohei Hoshide

ホテル・航空・旅行代理店など観光業界の記者。日用品・化粧品・ドラッグストア・薬局の取材を経て、現担当に。最近の趣味はマラソンと都内ホテルのレストランを巡ること。

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