イルカ大量死も「熱帯雨林アマゾン」干ばつの壮絶 加速する気候変動「負の連鎖」で緊急事態に
「これは危機だ。人道、環境、公衆衛生の危機だ。そして、私たちを最も恐怖させているのは、今後どうなるか、ということだ」とフライシュマン。
テフェから快速艇で約2時間のボカ・ド・マミラウアでは、航路が干上がってしまったため、基本的な食品や医薬品の備蓄が徐々に減り、子どもたちが船で学校に通えない状態が9月20日から続いていると、マーティンズは言う。
アマゾン各地で井戸や小川が干上がり、多くの集落で清潔な飲み水が入手できなくなっている。「ここでは水が泥に変わってしまった」。約3000人の先住民が暮らすムルチンガという村のトゥニエル・ゴメス・フィゲイレドは、そう話した。
一部の住民は仕方なく、汚染された水を飲んだり、料理に使ったり、体を洗うのに使ったりしている。「この水のせいで、子どもたちやお年寄りが病気になっている」とブラガ。よどんだ水の温度が上がることで、マラリアやデング熱を媒介する蚊が大量発生することも公衆衛生当局の懸念要素となっている。
イルカ大量死、森林火災の煙で人間も病院へ
アマゾンは野生動物の宝庫として知られるが、干ばつで数多くの動物種にもストレスがかかっている。水温が高い状態が続いているテフェ湖では、アマゾンカワイルカの死骸が次々と浮かび上がり、9月23日に初めて死骸が回収されて以降、9月最終週までにその数は153頭にまで増加したと、フライシュマンは話した。
テフェ湖では、おそらく干ばつと極端な暑さが原因で、有毒の藻類ブルームも大発生している。
乾燥と高温だけでも一部の動植物にとっては致命的となるが、今回の惨状の多くは、森林が乾燥することで森林火災が発生しやすくなったことが原因だ。森林火災の多くは、農家などが森林を開拓することで発生する。アマゾンでは、今年に入ってから1万8000平方マイルを超える森林が火災で失われている。バーモント州の2倍の面積だ。